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エピソードだけで人格を表現したい短編『幸福テロリズム』

牧瀬が部活の帰り道、電柱に貼ってあった子猫の里親募集のチラシを指さして
「あれ、やろうぜ!」っていきなり言い出して俺達はえーって驚いたけど
なんか牧瀬が目を輝かせるとわくわくとか興奮が空気として場にひろがるのか、
誰にも止められない。

ファミレスで作戦会議。翌日即実行。

学校中のツテをあたり、商店街のオジサンおばさんにも聞いて、駅前でチラシ撒いて…
市役所のナントカ課に問い合わせたりしてまで集めた里親候補者を
子猫の飼い主の村山さんに仲介して面談。

なぜか俺達までその場にスーツで居合わせて動物飼育の知識とかリスクとか
必要なこと・猫の幸せのためにしてほしいこと・してほしくないことの共通理解をとって…

傑作なのは、飼い主の村山さんが面談のあいだ
「うん。この人に決めようと思うんだけど、どうかな牧瀬くん?」的なカンジで
ちょくちょく牧瀬に判断をゆだねることだった。どんだけ信頼されてんだよこの短時間で。

村瀬が「良いと思いますよ」とか何とか、株主か社長みたいに
足を組んだスーツ姿でクールに答えるのがおかしくて俺は笑い出しそうになる。

そして牧瀬がチラシを指さした翌日には、みごと五匹の子猫に良い里親ができていた。



牧瀬にとってはゲームみたいなものだったのだと思う。


無名の路上ミュージシャンの横で急に踊りだして客集めをしたり。

“献血ブーム”を巻き起こして隣町のさらに隣町まで広めたり、

他人の結婚式に潜入して「新郎さんは覚えていないと思いますが…」から始まる
“5年前、たまたま拾ってもらった野球のボールと人生の先輩からの心強いアドバイス”的な
即席のスピーチでスタンディングオベーションをもらったり…。


「幸福のテロリズムね」といつか穂乃果が言っていたが、的確だ。
なんというか、一応善い事をしているはずなのに、やることが派手すぎて心配になるのだ…。
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[ 2014/03/03 20:21 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

エヴァ見たあとの短編『ラスト・シーン』

倒れ伏す俺の枕元で、見下しながら君は言う。
「○○くん…」

その口調は哀れみじゃない。慰めじゃない。励ましじゃない。
激励じゃない。感謝じゃない。お礼じゃない。共感じゃない。
恋情じゃない。母性じゃない。未練じゃない。感慨じゃない。
告白じゃない。愛じゃない。優しさじゃない。許容じゃない。


くすりと笑いながら、見下しながら、君は――言う。
「バカなやつ」


世界が終わろうというその最中まで君はとっても君らしかった。
そうだ。こんな場面でもそういう事を言う奴だった。君は…。


「自己満足は終わった?オナニーは上手に出来た?
あなたが私に会いたがったせいで世界は液状化して滅んでしまったのよ。
謝ってね。世界中の人に謝ってね。私にも謝ってね。
誰も喜ばないストーカー紛いの気まぐれで、あなたは世界を滅ぼしたんだから」

「……。く…」俺は答えようとするけれどもう肺が動かない。


「こんなこと、迷惑だって最初に会ったときも言ったでしょ?
あなたって努力の方向を間違えてる。
人の心に触れようとせずに人の心を手に入れようだなんて――」





まったくもってその通りだけど、俺は君が好きなんだ。





「バカなやつ」

微笑んで。
繰り返して。


君は去った。

俺は何故か、とても愉快な気分になった。


(了)
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[ 2014/03/03 20:20 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

おやすみプンプンを読んだ後の短編『プンプン・トーク』


「世界のほとんどは毒みたいに強烈で」
「とても飲み込めたもんじゃない」

「あの娘を裏切った日やおじさんと翠さんにひどいことをした記憶やお父さんを見捨てた台詞が」
「ずっと澱みたいに心に沈殿していてちっとも澄まない」

「いつか嗚呼あれも青春の1ページだったなァとか」
「辛かったけどあの経験のおかげでいまがあるんだとか」
「人生に無駄なことなんて一つもないんだよとか」

「そんな消化の仕方ができる大人に、僕はなれる気がしないんだ、おじさん」


へぇ。


「…タバコ、にがいね」
「よくこんなものが吸えるね」
「みんな毒に慣れ親しんで生きているみたいだね」


でなきゃ生きれないからね。君もそうなる。


「説教はやめろよ」
「どうしておじさんみたいな人が偉そうに意見できるんだよ!」
「僕の気持ちが分かるっていうなら今すぐ自殺してよ!嫌悪感がわくんだよ大人を見てると!」

ホッホー。よくそんな『ザ・未成年の主張』みたいなこと言えるねプンプン。

「……」
「確かにいまのは恥ずかしいセリフだったけど」

ふふ。じゃあ僕もあえて恥ずかしいセリフを言ってあげよう。おあいこだ。

大人にもできる唯一の格好いい生き方。
それは子供に毒を飲ませないための盾になることさ。
手を汚して腹を黒くして下衆な思惑を胸に抱いて悪から足を洗わず、どろどろの毒に身を染めて、ね。

そんな大人たちはもう自分のことなんて諦めてるんだ。
いつ自殺したっていい。
でもまだ出来ることがある。身を挺してまだ汚れてない存在を守れる。愛せる。犠牲になれる。

自己嫌悪の行き着く先に、自殺じゃなくて自己犠牲(サクリファイス)を選んだ人間、それが大人なんだ。


「……」


君はまだ、嫌いになれるほど自分のことが好きなんだね。
僕らはもう自分なんてどうでもいい。プライドも美意識もモラルもいらない。
自分のことなんかちゃっちゃと諦めて他のことに目を向けてみちゃーどうだい?

「……」

愛子ちゃんを鹿児島につれてってやれよ。
自転車でも望遠鏡でも売って金にして彼女の一時の気紛れの犠牲にしなよ。
彼氏が悲しむ?心苦しい?知らんしらん。
もう小野寺プンプンの事なんて宇宙のどっか遠くでうだうだしてる変な人、くらいに考えておきな。
自分を二の次三の次にすれば誰かを笑顔にすることくらい出来るよ。

「…っ、そんなの奇麗事だ!」

奇麗事さ。きれいだろ?
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[ 2014/03/03 20:18 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

青空、ひまわり、麦藁帽子みたいなイメージ短編『田舎の姉弟』

じりじりとした太陽が、僕と姉、ふたりの頭上を焼く。

延々とつづく道に沿って、青々とした向日葵が揺れていた。

夏の空気は透明だけど熱湯みたいで、
ずっと遠くの風景が歪んでて
ピントがあってないカメラみたいに僕らの世界を不安定にする。

靴で踏みしめた、ざらりと荒い赤土は、草と砂利とに侵食されながらも
長く長く伸び、地平線まで――
(ほんとうは林の手前で終わるのに、長く長く)――続いている。


ガードレールは不気味にくぼんでいて。
電柱は、ツタが這い、地面にぽっかりとした一塊の影を落としている。

蝉――永遠の“ミーンミーン”に慣れた僕らにはもう微かな鼓膜の痺れにしか感じない…。





「暑いね」
不機嫌な僕は答えない。

「…ねぇ」
つんと頭を小突かれても答えない。

「こらー、ムシすんなー!」


こんがりとよく焦げた僕と比べて、姉はまったく白い肌のままだ。

「…姉ちゃん、まだ都会に戻りたいのかよ?」と聞くと
「さあね」とはぐらかす。

それがいつもの会話だった。

そしていつも通りに、僕は頬を膨らまして、手荷物をぶんと振って歩く。


「ふふ、スイカ、落としちゃダメだよ?」
「落とすかよ」口を尖らせる僕。


へーんだ。僕はもう貧弱なもやしっ子じゃないのだ。
隣町へのお使いだって、畑仕事だって、渓流釣りだって、
なんでもできる力持ちなのだ。

今はまだムリだけど、きっとそのうち鶏をシメるのも
ひとりで火を起こすのも、祭りで太鼓を叩く役目も、させてもらえるはずなのだ…。

田舎に転校して三ヶ月で僕はすっかり「田舎の子」になったというのに…。

――姉はまだ、都会に帰りたいらしい。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2014/02/04 13:50 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

古今東西ゲームの短編『うま!』

短編っていうか…なんかよく判らない会話ネタです。
いや、ふと思いついたから…w
まぁ意味とか脈絡はこの際いいじゃないですか。午年だしw


★★★

「古今東西、『伝説の馬』~!」

「ユニコーン」
「ペガサス~」
会長と書記が楽しげに言う。
僕は早くもシドロモドロだ。

「うわ、ちょ、先輩…
その二つ潰されたら難易度がイッキに上昇しますって」

「うふふふふ、庶務くん、この程度でうろたえちゃダメよ~」

「うーん…じゃ、じゃあ、ケンタウロス」

「お、やるねぇ」
いままで目を瞑っていた会計がシニカルな笑みを僕に向ける。

「ならこっちはケルピーを挙げるよ。
ケルピー(Kelpie) ――イギリスはスコットランド地方の水辺に住むという幻獣で、
姿は馬に魚の尾、藻のたてがみを持っている。性格は臆病で、気が荒いね。
こいつは道端で歩き疲れた人を手綱をつけた若い馬の格好で待ち受けて、
背中に乗るとそのまま川をめがけて疾走し、水深が一番深いところで潜ってしまう。
泳げない人間にはとんだ災難さ。
しかし、上手く懐かせられればどの馬にも劣らない名馬になるという…



「あっ…はい、もうそのへんでいいです」

聞き馴染みのない名前だが会計が言うならきっと本当に存在するのだ。


「麒麟」
「じゃわたし赤兎馬~」

会長と書記は大陸系の伝説にシフトしたようだ。

っていうか赤兎馬って。
三国志に登場する「血の汗をかく馬」?
アリなの?まぁ…うん、アリか…。
いちおう架空の生き物だし…。


じゃ、じゃあ僕も…。

「こ、黒王号」
ラオウがのってたやつ。

「……」
「……」
「はは…だ、だめですかね」
僕の苦し紛れの答えにみんながジト目だった。

「…構わん。いい度胸じゃないか庶務。
ならば私も本気でいくぞ」

うわぁ…生徒会長が燃えはじめてしまった。
そして、そこから勝負は場外乱闘なんでもありの残虐ファイトへと発展してゆく。


「デュラハン~」アイルランドの首無し騎士。

「バイコーン~」ユニコーンのパロディ生物。

「蒼ざめた馬~」聖書。

「ギャロップ~」ポケモン。

「ハルウララ~」競馬。

「ミドリマキバオー」少年マンガ。


“伝説の”って縛りはどこへいっちゃったんだ…。

いつのまにか「負けたヤツは勝者をおんぶして校内一周」みたいな
罰ゲームまで用意された勝負のゆくえをぼんやりと追いながら、
僕は珈琲を飲んだ。ため息が苦い。

★★★ にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2014/02/04 13:39 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

昔描いた1P漫画のシナリオ はずれくじ

「どんな占いも百発百中で当たるよーになってから一ヶ月…
 ついにきました死の予言!」ではじまる漫画w

ぽややんとした占い女子中学生と、ちょっと釣り目の友達。教室。
禍々しいオーラを放つ“死の予言”のタロットカード。
画面端にかわいい死神<やあ!

「困ったねぇ、どーしよっか」ニコニコ
「ううん…そりゃ、別の結果がでるまでやり直すしかないんじゃねーか?」
しかしおまえ緊張感ねぇな…

横ぶちぬきのコマでモノローグ連発。
タロット、風水、ウィジャ盤、コックリさん、卜占、占星術、数秘術…

どれをやっても、色んな風に形を変えたマイナスの予言がくる。
(死じゃなくても、災害とか借金とか失踪とか)

「わー、まいったねぇ、これだけやってぜんぶダメだなんてー」フー
「クソッ、あと3日かよ!いよいよヤバいぜ…ん?」
釣り目、まわりを見渡す。ふたりは神社の縁側でジュースを飲んでる。

「…いちおうコレもやってっか?」
「そだね、ご利益あるかもだし」
賽銭箱に小銭ぽいー。注連縄ひいてじゃららん。拍手ぱんぱん。

おみくじを、ひく。




『 大  凶 』
『何事も計画通りに成らぬ一年』
『特技は失敗し、予想ははずれ、結局前年と変りない時がすぎるであろう…』


顔を見合わせるふたり。
「これ…わたし、死ななくてすむ…ってことかなー?」
「へへ、よかったじゃん。それ大事にもって、枝に結ぶなよ」

END。
画面端にかわいい死神<ばいばい☆ にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2013/11/29 09:12 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

昔描いた1P漫画のシナリオ 「ね」「む」「れ」「な」「い」

不眠で精神不安定な女性がベッドのうえでグルグル悩み、悪夢に魘される。
「ねむれない――」
「眠れないのだ私は」
「もう何時間も」
「くるしい、きつい、つらい、いたい、しにたい――」
「あああああ、朝はまだか死はまだか」

最後のコマで医者と看護婦が突然現れ、
「患者(クランケ)の眼はさめたかい」
「まだですね」
と会話。

え…と女性が横を向いて終わり。
じつは女性は眠れないどころか、魂だけが遊離した眠り姫のような状態なのだった。

ちなみに、背景の時計の針がその数コマで何十時間も進んでいたりする。
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[ 2013/11/29 09:01 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

昔描いた1P漫画のシナリオ 不安

1コマ目、道を歩いてる女性のうしろから声。
 
《死ね。》

「…?」
振り返る女性。

街の様子。穏やかな午後。犬を連れた老婆(虚ろな目)。飛行機雲。電車の音。
パン屋の看板。民家の二階の少年。鉢植えのインパチェンス。風にまう葉。

なにも不思議はないようで、しかしどことなく不穏。
奇妙な違和感だけがある。ただそれだけの作品。

(実は振り向いた女性の後頭部、髪にまぎれるようにして怨霊の顔) にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2013/11/29 08:57 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

昔描いた1P漫画のシナリオ 名探偵

「おまえがハンニンだっ!」突然、元気よくカメラ(読者の方)を指差す女の子。

ちょっとカメラ引く。
アホっぽい女の子が自室の窓の外に指鉄砲を突きつけている。

「……なーんてね」と、すぐに冗談めかして笑う。
彼女はベッドにころがり、退屈そうに「なんかおもしろいことないかなぁ」。

女の子の部屋。周囲には読みかけの海外ミステリ。ただの探偵かぶれの独り言。

…カメラが引いていく。

女の子の部屋の窓のそとまでカメラが引く。
窓のへりには、ナイフを握っている不審者の手が写っている。汗。荒い息。

ほんとうに“犯人”がそこにいた。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2013/11/29 08:55 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

昔描いた1P漫画のシナリオ 妄-LOST LADY-

昼の公園、男の子が誰かと待ち合わせ。パシャン。水音。
横の噴水を見ると、ずぶ濡れの不気味な女が、長い髪をたらして佇んでいる。

「どうして…っ」
ぶつぶつと血を吐くような恨み言。
「ねぇ、どうしてあの時来てくれなかったの?」「もう私のこと好きじゃないの」

男の子はすこし強張った顔でメンヘラ女を無視する。
女は血走った目をぐいっと近づける。キスできるほどの距離。いまにも噛み殺しそう。

「あてつけなの」「ずっと待ってたのに」「なんでよ」「どうして」「答えてよっ…」

別の女性の声。
「もう――」

「もう君の彼氏(もの)じゃないから、よ」

男の子に寄り添うように大人びた女性が登場。しっかり者。かわいい。キリッ。

メンヘラ女、顔が一瞬化け物みたいになるが、ぐにゃりと哀しみに歪み、どろどろと溶ける。
噴水の水にまじって消え、あとには波紋。

男の子はちょっと冷や汗をたらしながら「ひえー…」って感じ。
モノローグ。
『いまの彼女が強い人で本当によかった――』

(メンヘラ女の正体は自殺した前カノの幽霊。水辺にだけ現れて主人公を責める。道連れ志願)

今彼女にっこり。「さ、デートの続きをしましょ」



男「…と、ところで、本当に君にもアレ見えてるの?僕の妄想だったりしない?」
彼女「あまり深く気にしちゃダメよ」
fin。
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[ 2013/11/29 08:52 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

昔描いた1P漫画のシナリオ 色眼鏡のラプソディ

交差点のど真ん中。動揺して頭を抱える帽子の兄ちゃん。関西人。

「あっ、あまりに他人を見下しすぎたせいかっ…
あいつも!(豚)こいつも!(猿)そいつもっ!(牛)
みーんな人間に見えなくなる病気にかかっちまったぁああ!マイガッ」

道行く人間が、こいつには家畜とか汚い動物に見える。背景で獣がウロウロ。
そこにひとりの天使が近付く。
「どーしたのシュウちゃん?」キラキラァ-
「う…おおっ!?さすがマイハニー!輝かしくて直視できねぇぜ!」←バカ

「じつはカクカクシカジカで…」
「へー、じゃあ、シュウちゃん自身は何に見えるの?」

え…。
男は近くの洋服店のショーウィンドーに自分を写す。
でかいアリンコが目を点にしてこっちを見てる。

「あ……アリぃぃいいいいいいっ!?」えーん、と泣きながら走り去る。
彼女、指をくわえながら(ありさん可愛いのに…)とか言ってるw

モノローグ。「それ以降、俺は他人を見下すのを(ちょっとだけ)やめた…」おわりw にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2013/11/29 08:48 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

昔描いた1P漫画のシナリオ 「好き」の裏返し

ある朝、俺の右足が裏返っていた。
膝もかかとも背中側を向いていて、靴も履き辛いし見てて気持ちわるい。

ビックリした俺と家族と友達だったが、
それ以降ちょくちょく耳やら手やら裏返っていくのでなんか慣れてきた。

医者に言わせると肺やら心臓やらも捻転して前後や左右がしっちゃかめっちゃからしい。
何故生きてるのか不思議だといわれたがそんなもん俺だって不思議だ。

「そのうち全部うらがえったら元通りになるんじゃない?」と幼馴染は笑う。
「ええー…なんかヤだなぁ…」と俺は泣き言を言う。


ある朝、俺はすべてが裏返った状態になった。
もう靴が履き辛いこともない。見た目はすっかり一般人。


でも…「好き」という気持ちまで裏返ってしまったら…いったいどうなるんだろう?


裏返った俺は家の前の道に立って、遠くで手を振る幼馴染を見つめている。
なぜか俺はうすく笑っている。
なぜか俺は首を奇妙に傾げている。
なぜか俺は後ろ手に、肉切り包丁を携えている…。

「おっはよ、どしたの?そんな怖い顔してー」

来るな…!逃げろ…!
……逃 げ ろ !!!
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[ 2013/11/29 08:45 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

昔描いた1P漫画のシナリオ 二人分

「どうにかバラバラにはしたものの――ある問題が生じる。」殺人現場から物語はスタート。
芸術家のような繊細そうな男が、涙と返り血まみれの顔を青褪めさせて震えている。
狂気と恐怖と動揺で歯がカタカタ鳴る。息が荒い。

回想。
死体処理業者(中国人マフィア)が朗らかにプランを説明。
埋める、沈める、酸で溶かす。
一人分の死体を消すなら幾ら。二人分なら…
解体作業を自分でやるなら格安にできる。

芸術家は金が無い。しかたなく解体は自分でやる。

「ただひとつ注意があるネ」
「死体の数、ごまかさないコト」
「ハハ!“水増し”するバカがたまに居るのヨ」

ニコニコ顔の中国人マフィア。
「腕一本でも多かたら人数分いただくヨ――払えない、それアナタがバラバラネ!ハハハ!」

回想終了。

絶望に染まった芸術家の表情。ひざから崩れる。地面に散らばる女の死体。
「あ、あ、私には、私には――二人分は払えない」

血溜まりの死体の腹の中から、赤ん坊が覗いていた。

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[ 2013/11/29 08:40 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

麻薬的な創作熱の短編『文章を書くって楽しいね』


午前5時、もうすぐはじまる朝焼けの気配を耳朶に感じながら
苑(その)は重い万年筆を走らせる。

しっとりとした原稿用紙を削る金属の穂先は、
彼女の病弱な筆圧を写し取るように弱弱しく撓んでいる。

(わ、わ、どんどんわたしの気持ちが形になってくよ)

(すごい!)

(きもちいい…)

苑がこれまでの人生で飲み込んでいた数々の思いが、
詩情と死生観を含んだリリカルな母国語で綴られてゆく。

うわずって、興奮した、未熟なことば。
だけど、本物の体温がある、ほんとうのきもち。

なるべく嘘をつかないように、
できるだけ背伸びをしないように、
恥ずかしい事も嫌な事も非難されそうな事も、みんな
思いついた端から順番に、意識のながれにそって描いていく。

そうして出来上がる小説は世界中でわたしだけが傑作に感じる宝物だ。

ただの日記。心象スケッチ。だけど
70億の人類の誰にも読み解けない愉悦…。


背後の暗い窓は、カーテンの向こうで
苑の家…二階建ての福井商店…の前の通りの、車の音を受けて振動しているだろう。

蛍光灯の灯りはかすかなジー…という独り言を発している。

部屋の隅で魚のいない水槽が泡の音を吐き出している。

(へやの様子がぜんぶわかる)

苑は嬉しくなる。万能感。アドレナリン。
世界のディティールをすべて把握する感覚と、
同時にそれらをすべて掻き消す万年筆の感覚。

あたまがまっしろだ。


こんなに素晴らしい行為は他にない、と確信しきった彼女は
その後、朝日があがっても小説を書き続け、
昼過ぎには一度階段を下りて豆の料理と野菜スープを飲み、
徹夜ゆえのハイテンションにまかせてロールケーキを一本まるごと食べたあと、
また小説に取り掛かる。

がりがりがりがりがり…万年筆の音。

そして気付くと窓のそとはまた朝で、あれ?と一度疑問に思った以外は顔をあげることもない。


遠くで犬の鳴く声がした。
(あと5秒後にもういちどなく)
五秒後にもういちど鳴いた。
(…えへ!)

天からの福音に満たされた脳内で、
この世のすべてに感謝しつつ、
彼女の筆は『第三章』の文字を刻んだ。あと五章。


ひたすら原稿用紙のマス目を埋める行為に耽溺。没頭。中毒。

ふと猛烈な尿意に気づいて飛び上がり、トイレにかけこんだり、
こくんと船を漕ぎながら小説のことを夢見て、起きてすぐその続きを書き始めたり。
家族が何度も部屋を出入りして何か言うが、そのうちに諦めてくれた。

定期的に鳴るお腹も、無視しつづけたら我儘をいわなくなった。


(ふふ)
人間ってすごいな、と思った。

たぶんサンライズとサンセットを5回ほど見たあたりから
意識が連続しなくなっている。
書いてることも支離滅裂な気がする。でもやめられない。

『書く』という行為はそれそのものが快感なのだ。
まるで本能のように。
まるで生きることのように。
作品は、営みの結果として残る排泄物のようなものだ。

この魔力に取り憑かれた人間はもう逃げられないはずだ。

自分がまさにそうなのだから…。



そうして、そんな数え切れない朝と夜を乗り越えたとき、
苑のはじめての小説が、完成した。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2013/10/01 09:26 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

好きな曲からイメージした短編『メロウの友人』


ガタン。ゴトン。ガタン。ゴトン。ガタン…


「毎日、とても――死にたい気分だ」


お前はそう言う。
電車で隣り合い、肩を並べる僕に。


ガタン。ゴトン。ガタン。ゴトン。ガタン…



曇った窓ガラスは陽光をぼんやりと遮り、

「綺麗だ」という感情を邪魔する。


何かがゆっくりと死んでいく朝の時間。


学生服の群れのなかで、

無表情で立っている僕やお前のように、

「本当は何かを言いたい」奴はどのくらい居るんだろう。


ガタン。ゴトン。ガタン。ゴトン。ガタン…



イヤホンからは女性歌手のスキャット。

電車は灰色の建物に向かう。

何人もの、このまま到着かなければいいのに、という願いを無視して。


ガタン。ゴトン。ガタン。ゴトン。ガタン…



秋になるまえに自殺した先生のことで、僕達は何度も話し合い、そしていつも行き詰る。

お前の心の後悔が、お前自身に自分を弁護させていて
そんなイカれた機械(マシン)は僕が全部ブッ壊してやりたかった。

「全部おれのせいだ」
そんなことないよ。

「おれのせいで先生は絶望してしまったんだ」
歯車がちょっと狂っただけさ。

「……」
世界にはお前しかいないのか?違うだろ、責任は皆にあるんだ。
先生だって選択を誤ったんだ。

「ちがう」
あの人を神格視しすぎないで。

「うるさい」
…失恋ムードは楽しい?

「黙れ」


ガタン。ゴトン。ガタン。ゴトン。ガタン…




僕のことだって見て欲しい。


だけど僕はそんな本音を言わないまま、
お前の心情の吐露や後悔の言葉をずっと聞いている。



ガタン。ゴトン。ガタン。ゴトン。ガタン…



「…ごめん、言い過ぎた」
いいさ。お安い御用だよ。


「いつも聞いてくれてありがとう」
うん。


ガタン。ゴトン。ガタン。ゴトン。ガタン…



…ああ…僕の顔、引き攣ってはいないだろうか。


ガタン。ゴトン。ガタン。ゴトン。ガタン…



駅のアナウンスが鳴る。

僕達は降りない。

今日は二人ともちょいとばかり“そんな気分”だから、
このまま終点まで乗り続け、
終わったら映画でも見ようと思った。

あるいは、永久に停車まらなくてもいい…。

地獄にだって堕ちてもいい…。


ガタン。ゴトン。ガタン。ゴトン。ガタン…



そのとき、透き通る小さな雨だれが、ぽつんと床に堕ちた。
顔をあげると隣のお前が泣いてた。

綺麗だった。

薄い唇がすこし戦慄いて、それから言葉を紡ぐ。




「お前といると、そうでもないけど」
ん?

「普段生活してて――毎日、とても――死にたい気分なんだ」



…至って普通さ。



ガタン。ゴトン。ガタン。ゴトン。ガタン…



密かに熱くなった耳朶の、イヤホンから流れる曲は、
戒厳令の街の警報(サイレン)のようにぐるぐると暴れまわっていた。


【美しい予感――目に映る全て――儚き事象――。】



僕の学生鞄の中にはナイフが隠れている。

いつでも、この歌を終わらせられるように。
いつでも、この恋に決着を付けられるように。

僕の中の狂気は、その出番を、今か今かと待ち続けている。


《終》

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[ 2013/09/10 19:04 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

我ながらよくわからん短篇『いやな夢』

真っ暗な校舎を手探りで歩く。なぜ此処でこうしているのか判然としない。
私は…何をしにきたのだったか。
封筒を取りに来たのだろう。指先に紙が触れた感じが残っている。
とても大事な物だった気がする。
私はとても焦っていて、その封筒を探して夜の教室を彷徨っているのだ。

廊下の窓からは何も見えない。街の明かりも、星も。
私の顔がうっすらと硝子に反射して映るだけだ。
黒い髪の幼い子供である。
私はずっとこの『私』であっただろうか。馴染みがない。
闇に浮かぶ、すこし透明度を帯びた『私』の眼は猫のようで、
炎のように揺れることがなく、安定して、あまり感情が見えない。

心はとても波たっているように思う。
夜の学校は人気がないし、シンとして鼓膜が引っ張られるようだし。
怖い。焦っている。はやく指先に紙の感触を取り戻したい。
私の上履きが廊下をこすりながら徐々に足早になってゆく。

暗闇の中で焦ってはいけない。脳裏に警告が浮かぶ。
パニックになる一歩手前。わかってはいるけれど。

教室。教室。次の階段。廊下より外より室内は微かに明るい
電気が来ているわけではないが闇が暖かく、椅子と机の群れが仄見える。
級友達――顔は思い出せない――机を並べた同胞の所持品。

教科書。忘れ物のカバン。うわぐつ。体操着。
うさぎのシール。笛。ぬいぐるみ。トランプ。弁当箱――とても雑多だ。

夢、だろうか。
ここで私はその可能性に思い至るが、
しかしそれにしてはディティールが詳細すぎやしないか。

私は現在が20時48分であることもしっているし、
今が冬であることもしっているし、
担任の名前が藤堂ということもしっている。

私は中二の女子で空蝉という名で両親に叱られて学校へ戻った忘れんぼうだ。
覚えている。
何を探しているのかだけが。欠落しているのだ。


教室を3つ回って収穫がなく、しかたなしに私は図書室を探る。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2013/09/04 11:49 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

ハードボイルドが書きたかった短編『街は眠る』




   街は眠る。

  野生の獣が心臓を脈打たせるように都会の灯は点滅し、
    肺いっぱいにゾロゾロと人間を飲み込んで、吐き出して、深く静かに呼吸するのだ。

         街は眠るが、夢は見るのだろうか?



明け方の国道を俺のアウディが疾走するとき、
篠つく雨が車体に纏わりつき、ひどく金属のボディを冷やすので、
まるで俺は自分が南方のジャングルを彷徨っている獣であるような錯覚を覚える。

寒さが孤独を結晶化する。この気分、嫌いじゃあないが…。

ミラーに写る山高帽の男は――つまり俺は――苦々しい表情で煙草をくわえている。

昔の詩人はこう言った。「誰もが心に灯をもっていて…冷たい雨のなか、その灯で暖を取る」。
家庭、友人、子供、仲間、思い出…。
(俺にあるのは煙草の先端でくすぶる仄かな熱だけだな)…苦笑する。
いまにも消えそうな相棒と共に、俺は未明の空に輝く金星のあたりへ向けてハンドルを切った。


もうすぐウェスト・コーストの街がある。




ダニーの店は客でいっぱいだった。
薄暗く、熱気で満ちた裏通りの酒場だ。天井には古ぼけたTVが宣伝を垂れ流している。
「戦争に行こう!」「税金はきちんと」「犯罪に遭ったらホーン・ロッド弁護士事務所へ」
誰も聴いちゃいない。皆ビールの泡の方が大事なのだ。俺も例外ではなく。

「Shi-Ha!(よう!)」ダニーが緑色の瓶を掲げて俺のテーブルに着く。

「カウンターに立たなくていいのかい」俺は一応聞いたが、目の前の赤ら顔は知らん顔だ。
年季の入った笑みでかぶりを振って、懐からぼろぼろの紙切れを取り出す。

「YYY…Yyyk. シロウ、僕の仕事なんかどうでもいいさ。
仕事があるのは――お前にさ」

ダニーの毛だらけの指が指し示すぼろ切れの文字は、
このウェスト・コースト三番街のメインストリート、25ブロックの区画の住所である。

戦後、兵器輸出で儲けた化け物企業マルカポネ・インダストリィ。

「電脳強盗団(サイバーローグ)は知ってるな?近頃ネットを荒らしまわってるならず者だ。
彼らの狼藉に頭が煮えきっているマルカポネ上層部が、
プロアマ問わず、仮想空間(マトリックス)での攻撃力をもったヤツを募集している」

俺はグラスの氷を鳴らして答える。「おいおい…俺はネットゲーマーじゃないぜ」

「HA!――馬鹿(イディオット)、知ってるよ!話は最後まで聞くもんだぜ坊や」

ホモのダニーは嬉しそうに目蓋をぱちぱちさせて俺の肩を抱く。嫌な気分だ。
俺は店内で明滅するネオンで目を滲ませて、煙草の煙を味わって気を逸らす。

「マルカポネの募集に、“羊飼い”がノッたんだ」

「“羊飼い”――だと?」目を見開く。聞いた名だ。

23世紀初頭、仮想空間の黎明期に、ネットの海を縦横無尽に泳いだ猛者の名だ。
ヤツには名が沢山あった。
白鯨(モビィ・ディック)――怪物(レヴィアタン)――酸の悪魔(ディアブロ)。
そして、いつしか“羊飼い”の名が最も通るようになった。
“誰もがヤツの前では迷い羊(ストレイ・シープ)になる”――そんな意味が篭められている。

たしか――もう60近い爺さんだ。そんな伝説の兵士が参加したのか。

ダニーは言う。
「やっぱり“羊飼い”は大したものだったぜ。
3ヶ月前に雇われて、先月には電脳盗賊団の首領を捕らえていた。
いまは奴さん、マルカポネ・4ビルの地下で取り調べを受けているらしい」

「取調べ、ね…」想像したくもない。

「ところが、吐かないんだそうだ」
「吐かない?」
「ああ。根性があるね。部下の居場所、次の計画、アジトの住所…すべてまだ判ってない」
「ふん」義理と人情か?そうした価値観はもう世界地図の東側の一部にしかのこってない。

「だから、お前の出番だ」ダニーはにやりと笑って懐から名刺をとって寄越した。

「私立探偵シロウに、大企業マルカポネ・インダストリィから正式な依頼。
“羊飼い”とともに行動し、電脳盗賊団のすべてを暴け、とさ」

酒場のざわめきに掻き消されそうな囁き声が、その日の俺の運命を告げた。
俺は無言でグラスを傾ける。
デカいヤマだ…。

(さて、請けるべきか断るべきか、それが問題だ)

喉を焼く苦味に、俺は顔をしかめた。
しかし――迷ったフリはするものの、こうした場面で俺が依頼を断ったためしはないのだ。

にやにや笑いのダニーもそれを十分に知っていた。

(未完) にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2013/08/09 21:57 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

遺跡探検シリーズ

昔友人とのメールのなかで出したネタを転載。


遺跡探検シリーズ、
商人と盗賊のコンビでいろんなアイテム出しながら進めたら
面白くなりそうだな

毎回物語のシメに

『今回の稼ぎ:
トロルの角 360g
妖精の瓶詰め 1600g
竜の炎舌 8000g
ニガヨモギ 120g

必要経費:
トラップ解除 -2000g
傷と呪いの治療費 -6800g

目標金額まであと──186200g!』

とか表記したりしてw
装備もちゃんと予算をやりくりして整える。


盗賊(♂)バスタード・リロイ・リエル

冒険者レベル12、トラップ系の盗賊、脚に風の恩恵。
砂の大地アンプロン(ごめん、地名忘れたから適当)の出身。14才。

先祖代々続く盗賊家業に嫌気がさし家出。大陸中を渡り歩く。
が、家出はしたものの結局盗賊でくいぶちを稼ぐしかなかった様子。
見栄っぱりで挑発されるとすぐ乗ってしまう性格。
相棒にして幼なじみの商人フィリップ・アンにも利用されっぱなしである。
というか、彼の家出も、実は家族の「可愛い子には旅をさせよ」計画
のうちだったりする。ある意味哀れ。

風の恩恵を持つため身の軽さには自信がある。


商人(♀)フィリップ・アン・モス
冒険者レベル5、魔道具系の商人、瞳に金の恩恵。
リロイと同じく砂の大地アンプロン(ごめん、地名ry)の出身。14才。

のんびりした喋り方と笑顔のため良い人に見られるが、結構ちゃっかり屋。
「リロイ君が可哀想だから一緒に家出につきあう」などと言いつつ、
実際は自分の店をもつ夢にリロイを無理やり付き合わせてる様子。

瞳に金の恩恵があり、視界内の情報を数字で知ることができる。
トラップ発見担当。
彼女にとってリロイの価値は現在328600¥ほどらしい。
高いと思うか安いと思うかは人次第だろう。

所持品
金の恩恵の杖:代償(この場合は賃金)を支払うことで落雷を起こす。

なんとなく魔法陣グルグルっぽい感じの関係を想像して書いた。
マジで無駄な設定だから困るけどなw


「金の神さまへ歌います…
"ひとつ火の粉の雪の中"…
"ふたつ双子の影法師"…」

「金の恩恵の杖か、これならトロルを倒せるぞ」

「"みっつミラクルみくるんるー"」

「いやちょっと待て、なんだその歌詞は!?」

「"よっつ邪(よこしま) リロイ君"」

「そう言われるような事一度もしてねぇよ!
言っておくが俺はお前にそんな気持ちこれっぽっちも…
あ、いや、ちょっとしか抱いてないぞ!?」

「"邪なリロイ君に天罰を!"えいっ」

ばりばりばりばり

「ぎゃあああああっ!?」

「……なんで俺に攻撃すんだよ……(ぷすぷす)」

「ごめんね…なんとなくその場のノリで…」

トロルはどうしたw


しかし昔のメールを見直すと痛いやら懐かしいやらで不思議な気持ちになりますな( ´ー`) にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2013/06/21 10:15 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

浮遊樹の街リル・ルーディ・ルゥ

★★★

ほんのわずかに重力の緩い浮遊樹の街リルに昼の鐘が鳴り響くころ、
天へ伸びる長い梯子を上って僕はいつもの喫茶店へ行く。

春歌草はところどころ芽吹き始めて赤い小粒な実をつけ、風に揺られている。

息が弾んできたので地上から数えて3つめの休憩所で渡り鳥と一緒にちょっと休んだ。
僕には翼はないけれど、空は大好きだ。

そして、クネクネ伸びる老いた浮遊樹のてっぺんに、空よりも大好きなルル・ベルの喫茶店がある。

★★★

これは以前やっていた風景描写の練習の続きとして、
「風景描写の練習・拾」を書こうとして派手に失敗した作品の残骸です。

“樹上の喫茶店”
“意地悪な女店主と少年の交流”
“哲学クイズっぽいやりとり”
というイメージだけはずっと前からあって、それをうまく書きたかったんだけど、
なんかうまく気流に乗れなかったよ…この文章量じゃ冒頭にすらならない…ざんねん。

うう、いつかリベンジします!絶対! にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2013/06/04 19:53 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

象(きさ)はちいさな英雄

象(きさ)がいた頃、俺達小学生男子は毎日退屈なんてしなかった。

あいつは神戸から転校してきた女子だけど誰よりも行動力があって、
あっという間にリーダーシップをとって笑いをとって人心を掌握した。

象はなにしろ魅力的だったのだ。

こんなエピソードがある。

まず「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーッ」って悲鳴が不意に起こる。
授業中の先生も俺達もざわざわ、なんだなんだ?って窓から校庭を見下ろして
グラウンドにぽつんと立つアイスホッケー面の殺人鬼を見つけた。
そいつの足元に血塗れの犬が転がっている。

悲鳴は、殺人鬼のそばで腰を抜かしている低学年女子があげたもので、
スパーソニックのキャーによって存分に自己主張してしまった彼女は、
たぶんこのまま次の被害者になるだろう。

「た…助けなきゃ!」とはならなかった。
俺たち生徒も先生もなんか窓枠がテレビの画面みたいで現実感がない。
「なにあれ」「えー」「どうしよう、やばくない…?」とか言い合いながら戸惑うだけだ。

だけど象はちがった。

いきなり窓から飛び出して(2階)するする配管をつたって花壇のやわらかい土に着地して
うわばきのままでダダッとグラウンドの砂を蹴り、走り出した。
「ききききき、きさちゃん!たすけ」まで言えた腰ぬかし女子と殺人鬼の横を、
しかし無言でスルーして、みんながん?え?ってなってるのにも構わず、象はそのまま帰宅した。

象の家は古い数奇屋造りの二階立ての日本家屋で、学校のフェンスを越えてすぐの場所にある。

象はグラウンドの金網に立ってジャンプして自宅裏の松の木に飛び移り、
さかあがりの要領でくるりと体を回転させるとさらに高い枝から枝へ渡り、
ついにはてっぺん付近からジャングルの猿のように身軽に飛んだ。

飛んだ先には象の祖父の部屋があり、
その厳かな八畳間には、ぶち破ったガラスから差し込む光を浴びて輝く赤銅色の鎧直垂と日本刀が鎮座していた。

――「アイスホッケー面の殺人鬼 VS 鎧を装備した小学生女子」のはじまりである!

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[ 2013/06/04 19:43 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

夢っぽい内容の短編『うてなの林檎』

私の瞳の中には林檎があるとカズ君は言う。

暗闇にぽうと灯るその秘密の果実はすでに誰かにひとくち齧られていて、
つやつやとした赤い表皮がまるく抉られ、牙のあとが残っているらしく
カズ君は私の恋人だからそれがとても悔しい…と、言う。


付き合ってはじめての修学旅行。

同級生からのおバケ退治の依頼を受けて民宿を抜け出し、出撃した丑三つ時。

夜の京都の深い山中、無限に続くような鳥居を潜り抜け、
たどり着いた裏密教のお堂で殺人坊主と対面している真っ最中に、
なにもそんなこと言わなくても……と私は思う。

「カズくん?まずは目の前の事件に集中しよ?」
手を繋いだ私達のあいだをぴゅうと寒風が吹き、石庭の大樹の梢から枯れた葉が舞う。
寒い。私はセーラー服だしカズ君にいたってはお風呂から飛び出したままの腰タオルだ。

「林檎があるんや。君の中に」
目を潤ませて悲しげに言う私の恋人は、裸足でじゃりと砂利を踏む。殺人坊主に背をむけて。
「ないよそんなの」「あるよ」「ないよ」「ある」「集中して」「齧ったやつ殺したい」「もう!」

心も身体も凍えそうな環境と状況で、互いの手のぬくもりだけが救いなのに、
どうしてこんなに分かり合えないんだろう…。


と、月が雲から顔をだして、沼の表面みたいにドロドロと濃かった闇が払われる。

世界は青白い。
瓦屋根の神宮寺は朽ちることなくみっしりとした木材で閉ざされていて神秘的。
ぐるりと廻る縁側や、月を背景に夜空へのびる鐘楼や、椿の茂みや池の鯉。

襤褸切れをまとった殺人坊主は禿頭に青い血管を浮き上がらせ、ドス黒く充血した眼で鎌を構える。
じり。草鞋をくわえた足指が地を這う。うう、この人、人間じゃなくて蛇みたいだ…。

キャアアァアアアアアアアアアアアアアアア!

吼えた!坊主が飛び掛ってくるのに
「うてな、君の瞳のなかには…」カズ君!なに言ってんの!?前見て前わぁあああ!

しかしカズ君ははためく腰タオルのまま私に向き合ったまま振り返ることもなく
後ろ手に伸ばした掌で殺人坊主の鎌の柄をわしづかみにし、折る。

みりみりという中身の詰まった重い音で、
決してその鎌が劣化したり脆くなっている訳ではない事が伝わる。

「ええっ…?」
驚きに見開いた私の瞳を覗き込んでカズ君は悲しげに「…林檎がある」と言い、

へし折った鎌の刃の部分で、殺人坊主の喉を搔き斬って殺してしまう。

その夜の神聖さをまとめて汚す化け物の体液。
月の青白さを赤く染めてゆく血の噴水(アーチ)。

坊主はぶしゅううううと闇を噴いて、噴いて噴いて、出し尽くして、
旅館の朝食のナスの古漬けみたいに皮膚をくしゃくしゃにしてしまうと、
骨も肉もなくなったようで、そのままへたりと生皮と衣服だけを残して地面に広がってしまった。

しんと静寂。

退治――完了?っぽい。


「……え、ええええ…」私の動揺は続く。

物理なの?
物理攻撃なの?

カズ君のお化け退治に付き合ったの初めてなんだけど、
お経とか清め塩とか…不思議なパワーは使わないんだ…。

私がそう言うと
「恋より不思議なパワーなんか無いで」などと
判ったような判らないようなことをカズ君はいって、涙を拭う。

「帰ろか。流石にさぶいわ、この格好。はは」
ハハじゃないでしょ、と呆れて彼の背中を軽くぺちんと叩いたけれど、確かにカズ君が風邪ひいたら困る。

ほら、その、キスとかぎゅうとか出来なくなっちゃうし…せっかくの修学旅行だしね? にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2013/01/26 23:45 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

狂った少女の短編 『遠子が家の地下室で』

嫌な物事というものはたいがい、知らないところで徐々に悪くなっていくものですよね。

社会の腐敗だったり、家庭の不和だったり、誰かの精神状態だったり。

さながら悪性の腫瘍のように、いつのまにかどんどん進行してしまっているものです。


「俺/私はちゃんと現状を自覚してるよ」と思っていても、
そんな想像を遥かに超えて、事態がのっぴきならない所まで来ていることも、ままあることで。


『遠子が家の地下室で』はそんな短編です。
ちょっと不快な表現ばかりなので“続きを読む”で隠します。
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[ 2012/10/02 13:13 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

厨二病バトルしてる短編『憑き物遣いとカード使い』

★★★
有賀 奈太郎(あるか なたろう) アルカナ・タローを使う中学生。
敦賀屋 檻髪(つるがや おりがみ) 憑き物を遣う女子高生。
ケンカの理由:とくに設定していない。
★★★


「あーあ、俺べつに女の子と戦う趣味はないんだけどな…
しょうがない、悪いけど眠って貰うよ。

No.13<死──」

「ッさせるか! 喰らいな、"獏騨"(バクダン)!」

突如、敦賀屋の鎖骨に棲む"夢食い獣"が目覚め、火中の栗が弾けるように放たれた。

発動しかけていた夢の結界を奈太郎の持つのカードごと吹き飛ばす。
それだけでは終わらない。
狙いはもちろん、奈太郎のもつカードデッキ本体!

「なっ!?…ちょっ、待…ぐぼっ!」

夢の結界を打ち砕きなお獏の式神はその突撃を止めなかった。

テーブルに置いたカードを、テーブルごと吹き飛ばし、机も椅子も関係なく直進する。

吹き飛ばされたカードは宙を舞い、式神はケースごと奈太郎の胸を突き、ぶち当たった。

余りの衝撃に奈太郎の呼吸は一瞬止まり、肺の中に残っていた空気が押し出されくぐもった声を吐く。

慣性の法則によって奈太郎の体がまるでビリヤードの玉突きのように後方に吹っ飛ばされる。

(そして逆に獏はその場で停止、織髪の指示を待っていた)

積み上げられた机の山に突っ込みつつ、壁に激突。

もう一度ごばっ、と掠れた呼気音が聞こえガラス窓に放射状のヒビが入る。


「――奈太郎(キミ)が学生服の左胸にケースを入れている事は既に"紅丸"の嗅覚で分かっていたのさァ。
ほら、あたしってば天才だから。きゃははw

さーてさてさて、ここからがシンキング・タイムよぅん。
“降参しちゃう”? それとも“まだ我慢しちゃう”?
どっちでもいーけど、できたら降参して欲しいなァ…あたし式神使うとお腹が空くからさ」

それは。
軽い口調でありながら、しかし。
"降参しないならこれから式神を使ってたっぷり痛めつけてやる"と言う、宣言だった。

「げほっ……う、嘘だろ…なんだよこの人…?ありえねぇ……」

胸の辺りが物凄く痛い。どうやらかろうじて骨折は免れたようだが、ヒビくらいは入ってるかもしれない。

どうやら、女があえて左胸を狙ったことが幸いだったようだ。カードケースが防弾の役割を果たした。

それでも、激突によって吹き飛ばされ、全身をしこたま打ち付けられて身動き取れないことには変わりはなかったが。

(腕が上がらない…ヤバいな、ちょっと時間を稼ごう)
「……ええと…と、トランプってさ、"切り札"って意味なんだって」

「は?」

「最強の札の名を冠しても良さそうなものだろ?
でも、このタロットから派生して出来たカードの名前は、
王様(キング)でも英雄(エース)でも道化師(ジョーカー)でもなく──"切り札"(トランプ)。

大事なのは、カードの強さよりも、"いざと言う時、いかに勝てるカードを引くか"…
つまり、使い手の運命を征する力こそが試されるってことだと思うんだ」

「ふーん、うんめー、ねぇ…。
でもさ、キミにはもう切り札なんて無いんじゃな~い?」


夕暮れ時の教室に、桜吹雪のように、一枚一枚、ぱらり、ぱらりと舞い落ちるカード。
それぞれがわずかな時間差を持って床に落ちていく。

奈太郎の手元には、彼の生命線たるカードはもはや一枚も残っていない。
獏の一撃によって全て吹っ飛ばされ、一枚残らず宙を舞い、その殆どが地面に散らばっている。

仮に宙を舞うカードを手にしたところで、地に伏せられたカードを手にしたところで。
この状況を打破するカードなどそう都合よく引けるはずがないと──

                ・ ・ ・ ・ ・ ・
──敦賀矢 檻髪は、そう誤解していた。


「あるよ。とっておきのがね…。

では聞こう、魔物祓いのおねーさん。

もしここに"切り札に選ばれる運命の持ち主"がいたとしたらどうなると思う?
引くカード引くカード全てが"切り札"になる男がいるとしたら、
おねーさんだってきっと勝てないよな?」


「? まぁ、そうかもしれないけど…」


  ・ ・ ・  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「そうか、それはなにより」


だらんと投げ出された少年の指が、その先に落ちていたカードに伸ばされる。

もう殆ど力が入らないのだろう、指はゆっくりと地面をカリカリと進み、カードの端をたしっとおさえた。

敦賀屋は黙ってそれを見ている。
…いや、既に彼女の背後には無数の動物霊が浮かんでいる。
処刑の銃口はもう少年を捕捉しているのだ。

どんな切り札を引いたところで自分の方が早いと確信している殺し屋の眼である。



げほっと三回咳をして、少年は深く深呼吸をした。

そしてニヒルに笑うと、ぴん、とそのカードの端を指先で弾く。


力無く弾かれたカードの表面が夕陽のもとに晒される。

その柄は、白紙。
何も描かれていない、ただの白紙のカード。

織髪はわずかに驚愕する。

――馬鹿な?カードには全て絵柄が描いてあったはず――

そして訝しげな彼女の目の前で、その白き下地に、鮮やかなる絵が浮かび上がった。


「出でよ…………№10<運命の輪 Wheel Of Fortune>!」


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[ 2012/09/17 04:36 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

舞城オマージュ『愛媛川の13 Ehimegawa's 13』

『ふさわしいにんげん』

やつは確かそんな名前の小説を書いていた筈なので俺は書店から図書館から通販サイトから知人の本棚から
あらゆる場所を探す。

やつと言うのは&ruby(おどしょうご){小渡章吾}のことだ。
27年前おれたちが小5の頃に幼馴染みのチッチ(森崎ちえみ)の左腕を焼いて逃げたあの男。

将来の夢は作家だった。

やつはそういう夢とか目標みたいなものに貪欲で意地になる人間だったので犯罪者として逃亡している
いまだってきっと小説を書いているしもしかしたら出版しているかもしれない。

本名で。

そういうやつだ。だから俺は作家名「お」の欄を、探す。


-1-

左腕のない彼女がワイルドに波立つ黒髪を観葉植物の陰からのぞかせて「いってらっしゃい」と言うので
うれしいやらいとおしいやら。ニヤニヤ。まったく俺はだらしない。

ガラスの引き戸をカラリと閉めてサンダルすね毛短パン姿の俺は出勤する。ノートPCを抱えて。
編集者なのだ。驚くべきことにそれはもう荒れて荒れてしょうもない不良だった俺がいま奇跡的に
定職についていてあろうことか妻までいる。子供はまだいないがもうすぐだ。このまま平穏に暮らせばね。

今度&ruby(えひめがわじゅうぞう){愛媛川十三}名義で本も出る。やつより先に作家デビューできただろうか?ふふん。

もうすぐ秋だというのにまるで衰えない太陽の熱を爬虫類がそうするように全身で浴び
焼けたアスファルトと楡の並木道の中間をぶらぶら歩く。犬を連れた婦人風おばはんが通る。
その薄灰の日傘越しに見上げる10月の空に、サッカーボールか何かの黒い影が横切ってうひゃっと思う。
なんか変な姿勢でジャンプ。つんのめる。ここはガキが多いのか?あぶないな。

「おいこら、玉蹴りは空き地でやれ」…っていいかけてやめる。
空き地なんか何処にもないってことを思い出して皮肉げに自嘲したからではない。
ぽつ、と傘に血がつく。
足元のサッカーボールは&ruby(おど){小渡}の生首だった。
俺より先におばはんが悲鳴をあげて俺は「うるせーな」と思う。


-2-


「それで、調布のふたば文庫社に出勤するために歩道を歩いていたら、その、首が落ちていた、と」
「落ちていたんじゃありません。飛んできて隣の女性の傘に当たって落ちたんです」
「はぁ…すると誰か、その、人間の首を投げた人がいるということになりますね」
「っつーかそいつが犯人でしょ」
「いやそれはまだ分かりません…えっと、失礼ですが愛媛川さん?」
「はい」
「そのね、隣を歩いていたご婦人の証言では、背後からうひゃっと声がしたので振り返ったら、
足元に生首を置いた貴方がぼうっ立っていた、ということでね」
「はい」
「彼女はいまも恐慌状態でね。貴方が不気味に笑ってたと。完全に狂った眼だと。首でリフティングもしてたと」
「それはない」
「いやー本官も流石に言いすぎだとは思うんですけどね。ただ彼女の証言と貴方の証言は食い違う部分が多くて」
「彼女が間違ってるんでしょう」
「いや貴方が間違っています」
「ん?」
「傘に血は付着していませんでした」

-3-

「ここから出せ」
「本当の事を教えてくれれば出られますよ」
このクソったれな暗闇から俺は7年間も出られない。

-4-

その理不尽な停滞期間に考えて考えて考えて出た結論は「おどっちが生首を投げて俺をハメた」だ。
妄想じゃない。
あの首は確かに小渡章吾のものだったし小学生の頃の面影もあった。ほくろの位置も同じ。しかしだ。
そもそも俺の記憶の中の小学生の《小渡章吾》が偽者であるとすればどうだろう?
やつは休みがちだった。双子の兄がいた。ほくろが鏡写しの位置にあった。
そしてやつは例の事件のとき確かに ほ く ろ が 逆 だ っ た の だ。

俺しか知らない。
妻は金曜日にかならず面会に来て右手でガラスをなぞって「はやく会いたいね」と言ってくれるが
おどっちのほくろを覚えているか?と聞くと昔のことは思い出せない、という。

やつは兄をずっと自分の代わりに登校させ、例の事件を自分の手で巻き起こした後の生贄にしようとしたのだ。
思い出の《小渡章吾》はやつの兄で、ほくろが逆なほうが本物の《小渡章吾》。
双子の兄は弟が犯罪者として失踪したことに心を痛めてボランティアにはまり海外で介護の仕事をしている…という噂だったが
いまは生首になって警察の資料として保管されている。哀れだ。

ほくろが逆の、例の事件の時にたった一度だけ会ったあの本物の《小渡章吾》はいまだに生きて俺を陥れたのだ。

妻の手を焼いて。
俺を冤罪で投獄した。


俺は7年の服役を終えてもう45歳のおっさんになって髪も白髪まじり。釈放されたその足で駅周辺の本屋へ行く。
愛媛川十三の本はない。そんなことはどうでもいい。作家名「お」の欄を探す。


あった。ハヤカワ2008.3.25発行 小渡章吾『相応しい人間』。

-5-

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[ 2012/09/17 03:41 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

ルビだらけの短編『月蝕グランギニョル』

天国──善きものがいくところ。
地獄──悪しきものがいくところ。

煉獄──未だどちらかわからない者たちが永遠に戦う戦場。




-Ⅰ-

結局みんな死んだとさ。めでたしめでたし。

-Ⅱ-


透明(みえ)ない蝙蝠が凍れる蒼月の血を吸うと 乳のような霧には 檸檬を齧ったときの馨(かおり)がたちこめた。
今宵は仮面舞踏会──マスカレイドの夜である。

カーテンが引かれる。
窓が葡萄(ワイン)色に染まる。

“歪んだ真珠”(バロック)の調(しらべ)を持つ豪奢な寝室。月光さしこむその場所の、椅子に座っていたのは少年だ。
細い二の腕と色気のある靴下と、影に似た微笑だけが彼の全て。

「お姉ちゃん、お姉ちゃん」

耳の奥深く、脳髄を羽でくすぐるが如き艶美なる声。
詩的な。死的な。素敵な。魔笛な。
喩えるならば人間の憎悪で構成(で)きたヴァイオリン。
世界の果てで奏でられる葬送曲。

「静かな時間は終わりだよ」
「起きて」
「死ぬに死ねない罪深き放浪者(カイン)どもがやってくるよ」

近付いて、ゆさゆさと彼が揺するのは、ベッドの中にある幼き体温。
魔少年がなぜだか“姉”と呼ぶ彼の妹(フラーテル)──。
朝はもう二度と来ないが彼は彼女を起こさなくてはならない。

「──ねむいの」

そう言う。蜻蛉(イファメラ)が死の間際に吐くため息のような弱い唇の震えとともに。
「──とても。もう──ほっといて」

「駄目だよ。この城にくる僕らの敵を、ちゃんと殺してあげなきゃ」

でないと可哀想だよ…。

少年は誰よりも悲しげにそう呟いた。
きっと、その言葉が真実なのだろう。

ふたりのいるベッド、その寝室、その窓──その外の白き外壁、月の影、赤い屋根。
どんどん俯瞰していくと。
蝙蝠と逆十字架と茨とに囲まれた常夜城(とこよじょう)は、蒼き光につつまれたまま、
虚空に吼え、啼き、その身を振動させていた。

城を囲む墓場、古戦場。

怒りの気炎を吐いて集まった幾万のゾンビたちを迎えて、城は男爵夫人(バロネス)のように──歓(よろこ)んでいる。

彼ら兄弟(フラタニティ)が先に対処しない限り、城が呪われた魂を飲み込んで永遠に彷徨わせてしまうだろう。

それは──途轍もなく残酷なことだった。


「起きて。そして仮面をつけて。
君が踊れば月が沈むまでには屍の山を築ける」

魔少年はそう言って、枕に顔を伏せた妹の細い肩を揺すりつづける。

「物語を終わらせる機械仕掛けの神(デウス・エキス・マキナ)は君しかなれないんだよ。ねぇ起きて──」


-Ⅲ-


最初のゾンビは麗しき煽動(プロパガンダ)の魔女ジャンヌ・ダルクだった。

火炙りになって死んだ彼女は火傷顔(フライフェイス)の窪みから地獄の炎を放射する異能を有していた。
茨の庭を焼き落とし、柵を破って聖域へと侵入する。
兄妹のはじめての場所を踏み躙るは汚れた靴。

手にした旗には魔女の剣の象(しるし)。
纏う鎧には銀の光沢(ひかり)。

炎に金髪(かみ)をなびかせ、眼は鋭く、美貌の肌(かんばせ)を画布(カンバス)に地獄絵図(ゲルニカ)を描き。

腐る舌──粘る唾(ツバ)──蛆湧く口喉(のど)も張り裂けよと叫ぶ。


『常夜(ポー)ォォの城の吸血鬼(バンパネラ)ァ!
殺しィてあぁあげるから出ておいでェェェ
3つ数えてでてこなきゃア
御前(おまえ)の可愛い駒鳥(クックロビン)
燃やしてしまうよ 駒鳥(クックロビン)!』


火の粉が夜空に舞い上がり、その歌、その声、月を焦がす。


──声に応えて、城の遥か高みの窓から、月光よりも青白き肌の魔少年が、す…と亡霊の存在感で佇む。

地を見下ろして、粘りつく呪怨の歌を消去(キャンセル)するような澄んだ闇色の言葉。
「ジャンヌ…無作法だよ…今宵は仮面舞踏会だ…仮面をつけておいで…」


空を見上げて、ゾンビは焼けた禁忌の庭で手をひろげ踊り、にやりと笑う。


『この火傷顔(フライフェイス)が妾(わたし)の仮面(マスケラ)ですわ』




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[ 2012/09/17 02:55 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

孤独についての短編『遥かなるBHと君のこと』

彼女が船の座席に座ったままブラックホールに吸い込まれて7dp(ディーピー)の時間が過ぎた。

俺はさすがに我慢ができなくなって銀河連邦のボロ無翼機を拝借して向かう。死の淵へと。
幼馴染で8年ほど一緒に過ごしたけれど、それを遥かに上回る(体感時間にして)もう2億7500dpの時が
まだ座席に座る彼女のうえを流れているはずだ。
極大すぎる重力は時間を引き伸ばす。
ブラックホールの犠牲者は物理的破壊による死が訪れるまでの刹那を永遠に感じる。

人間の精神は果たしてその無為に耐えられるのか?
引き伸ばされた永遠のなかで変わらないモニタを眺めて自分を枯死させずにいられるものだろうか?

わっかんねーよクソが。

レバーを思い切り引くとバーニアが茶色い縞模様のチェルホロ星系隕石群の列を乱す。
人類存在はすでにこの宇宙さえ狭く感じるほどに肥大化して神話の巨人みたいだ。
だからちょっと第3亜光速まで加速したくらいで重力平面上に井戸のような深い盆地を形成してしまった。死滅する8823の銀河。

後悔?
ノンノン、彼女のほうが大事よ。

俺はチョコ・バーを頬張りながら網膜TVのバラエティ番組を見て笑いながら排尿し、3秒ごとに睡眠パルスを放ちつつ星海を泳ぐ。
夏休みはあっというまに終わってしまう。俺は休暇明けの兵士。たくさんやることがあって衆合船の運命とか背負ってるのに。
でも今はアサッテの方向へむかってジャンプを繰り返し、アルコールを血中に直接摂取しつつバカ笑い。

彼女のほうが大事だ。

植物に似たエイリアンを蹴散らして、みえないブレード光波で世界のはじっこの膜を切り裂き、
イド(潜在意識世界)のなかの3丁目の角をまがってたばこ屋さんで缶ピースを買う。
100円玉をじゃらじゃら握り締める小学生の俺。はは、なっつかしー。生の貨幣(クレジット)なんて久しぶりに見た。

麦わらの俺の肩をつかんで彼女は顔を出し「いけないんだー。タバコなんか買って」と言う。
「ちげーよ、親父が」「うふふー」「ちげーって」「せんせーにいってやろー」
先生?もういない。親父も学校も地球も、現実世界では既に滅んでいる。


彼女もね。


俺は操縦席のシートで不意に我に返った。


だよな。常識的に考えろよ、俺。
特大BHに飛び込んで精神荒廃したカサカサの彼女の抜け殻を抱きしめたとしてナニが楽しい?

ははっ。いまさら正気に戻ったけど遅すぎた…。
戻れない。
進むしかない。




イドから抜け出した俺の目前には幽界への門が広がっていて、燕に似た無翼機の外殻をさらさらの砂にする絶対の虚空。

その先にチューブトンネルがあって時空歪んで一瞬=0.0095秒くらい四次元に跳んで、
また8天文単位(AU)ほど戻った場所がこの宇宙の中心になるので、
特異点バニシング・ポイントをドリルで穴あけて、
俺の遺伝子を改造してミミズみたいな精神体になった後その穴にちゅるちゅる侵入しなきゃならない。

もちろん無翼機なしの宇宙遊泳だ。
ミミズの俺は、這って、這って、這って…

──そして、そこから12光年先が目指すBHである。

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[ 2012/07/14 15:52 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

町田康の文体模写『オチなき日々』

その日はあんまり暑いので、俺は悪夢を見てあわてて布団から飛び起きた。

森の木陰でドンジャラホイするのは妖精さんだけど俺の額のうえにて森の木陰でドンジャラホイのリズムでサンバ或いはタンゴ・ステップを踏み狂っていやがったあの人型小動物を訴えようと思うのですけれど裁判所の電話番号がわからない。

104へコール。

「あのう、僕の頭でドンジャラホイする小人を名誉毀損のかどで訴えたいのですけれど」
「死ね阿呆。き●がい」

という訳で俺はこの四月からコールセンターに勤めることとなった。
社会的弱者、失業者の俺にき●がいなどと上から目線で言いやる高飛車な女を叱り付けて人の道を説いてやらねばと思った次第。
妻は俺のいう事の意味がよく理解できなかったようだが、
とにかく就職してくれるのねよかったわァと暢気に笑うものだから俺は困ってしまう。

朝食。
ざるそばを濃い鰹出汁のつゆにひたしてズルリズルリと吸い、
卓上の生卵の殻を剥いてべちょべちょになってしまった指をべちょべちょ舐め、
仏壇のバナーナをばひとつ失敬してこれまた皮をむいて喰う(今度はべちょべちょしなかった。成功である)。

ようやく人心地ついたところでもう俺は仕事にいくのが嫌になった。ほとほと愛想がつきた。
「まだ何もしてないじゃァないの」
「妙な事を言うな。この応募要綱をよくみろ。8時。8時出勤と書いておるな。
しかるに俺は8時に目覚ましをセットして寝たはずなのをさっきそばを喰らった瞬間に思い出した」


時計を見る。おおなんといまだ6時半ではないか。
常態ならめざましテレビを視聴せしめ軽部アナの顔色を伺う崇高なる時刻だ。

「わたしが掛け直したの。だって8時じゃ間に合わない」
「なんという理不尽。8時という条件で雇っている癖に8時前に起きて身支度することを強要するブラックな企業め」
「そんなの普通よ」
「ドンジャラホイするな!」
「急になによ」
「すまん」
「とにかく仕事にいってきて。働かなきゃ今夜の夕食分のお銭もないのよ」
「なんという理不尽」

そういうことになった。

ぽんぽんが痛いのに電車に乗る。額の小人が俺から飛び降りてシルバーシートに旗を立てて占領した。
「なんとモラルの無い世界だ!」
と叫ぶと別のシルバーシートに座っていた若者が恥ずかしそうに立ち上がり別の車両へと消えた。なぜか拍手が沸き起こる。
俺はいい気分になって悠々と開いた座席にすわって目的地までの旅を楽しんだ。

「あれ?」みたいな顔をした乗客たちにはわかるまいねこの快適さ。うっほっほ。


どうしたことか海に辿り着いた。スーツのすそを巻くりあげ、夕暮れまで潮干狩りをする。
山ほどのアサリを渡すと妻は「仕事はどうしたの」と言いながらも夕餉の具を手にして複雑に困ったような嬉しいような顔。

じつのところ、俺はその顔が好きで、落ちなき日々を堕落堕落と生きている。

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[ 2012/07/07 18:27 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

奇妙なる短編『たしてアッシュ!』

僕の右手と左手でものを触ると、ふたつをひとつに融合させることが出来る。
天才だからね。
だけど飼い猫のプラス(白)とマイナス(黒)を混ぜて巨大な灰色の化け猫を造ってしまった僕を忌み嫌って、
師匠=老いたる錬金術師ヴァラ・ヌーは故郷の両親に怒鳴り散らし違約金を求め僕を破門にしようとした。

ので、灰色猫の魔獣であるアッシュに師匠を骨まで残さず食べてもらった。

よかった。
僕はまだまだヴァラの使途でありたいんだ。
就職にも有利だし、なにより《使途》って響きが格好いいもんね。

西の深い森の洋館はいまや僕のものだし、師匠の名を頼ってくる依頼はすべて僕が対応している。
人生は順風満帆で、なんの不安や違和感もない。
生きるって素晴らしい。


だけどもある日洋館を訪れた冒険者──《燃える髪の男》によって僕は退治されてしまって、あらあら、ゲームオーバーか。
と思った矢先に僕はすぽんと2人に分かれて、協力してその男をビンのなかに封印することに成功する。

テーブルの上に置いたビンを挟んで、僕と僕はみつめあう。

「つまるところ、融合の能力をもつ僕もまた、融合されてできたクリーチャーだったってことかな?」
「だろうね。僕と君は似てるけど、同一ではないもの」
「きっと双子かなにかだったんだろうね」
「そうだね」
「たとえば僕がお兄ちゃんだったりしたのかな?」
「いや、君のほうがこころもち顔が幼いよ。僕が兄で君が弟だ」
「いやいや、なにを馬鹿な…」
「…」
「…」

殺しあう。

二段ベッドの上を取るのはどちらか。

斬ったケーキのより大きい方を食べられるのはどちらか。

古びた服。古びた靴。古びた鞄。おさがりを押し付けられるのはどちらなのか。

はっきりさせなくてはならない。



そして──《僕》が勝った。


だけど、その所為かな。最近バランスがうまくとれないんだ。

心が前より狭くなったというか。半分になったというか。

急に灰色猫が怖くなったり、師匠を殺したことを思い出して泣いたり、研究のため命を弄ぶことが嫌になったり。

今の僕はとっても情緒不安定で。
なんだかまるで人間みたいな、変な生き物になってしまった。

研究のために感情を捨てられない不完全な僕なんかいらない。
天才じゃない僕なんかいらない。


だから──ああ、アッシュ。
君だけは本当によく僕のことを分かってくれるね。
そうだよ。
師匠みたいに、骨まで残さず、よろしく頼む。



《了》
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[ 2012/07/07 18:15 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)

ふと考えた絵本のシナリオ『しんじてくれた』


それはロボットなので砂漠に埋まったまんま何億年寝ててもまだまだ余裕で数百年はぐーすかイケたんだ。
でもネズミに齧られるのもなんなのでそろそろ…と思い起動してみると、
さもありなん。
人類はころっと滅んでいて宿ったばかりの人格──きみ──はさっそく途方に暮れる。

さてどうするロボ~?

語尾に致命的な問題を抱えたきみは、とりあえず崖から飛び降りてみることにした。
目的を失ったとき人間が行うこと。
“自殺”である。

バケツが転がったような音が虚しく荒野に響いて、複数の有機生命体(ハゲタカととかげと潅木)がびっくりした。
そんだけだ。きみのヘッドがすこし凹んだ。思考には影響がないといいけれど。



さて目的を失って、死のうとして死ねず、さらにやることが無くなった。
ボクシングのチャンピオンでも目指してみようか。
魚屋さんになろうか。
コンビニの店員でも良いかも知れない。

……。きみは天地が逆転した姿勢でウウムと首を傾げる。

なにか。

なにか目的が欲しかった。



電話ボックスをみつけたので十円硬貨(ギザ十)でかけてみる。
turrrrrrr…
世界滅びてんのにコール音が鳴るのはおかしいロボ。

きみには突っ込みをいれる機能がちゃんとある。
ぷつっ。不意に繋がって鉄で出来たハートが踊る。文学的に言えば『びっくりした』だ。

「もしもし、とおいせかいのあなたへ。わたしはじゅうさんさいのおんなのこです」

幻聴?
そんな言葉が脳裏(メモリ)をよぎったのはきみが人間らしさを求めて作られたロボだからだろう。



ここは荒廃した地球だし人間はとっくに滅びてるはずロボ~?
どうして電話がつながって女の子とストロベリートークが楽しめるんだロボ~?
見ると、その電話ボックスのみどり色の本体にはべたべたと俗悪な広告がはってある。
ん、なーるへそ…。

「いまからあなたをきもちよくしてあげるね」

こういう機械音声か。


人間のやることは面白すぎてさすがのきみの理解の範疇をも超えていた。
いっぱつヌクためのガイダンスが延々と流れる負の遺産。
こんな古代遺跡があってたまるか。
オーパーツもいいとこだ。

数億年が経過したこの惑星の表面に、河原に捨てられた雑誌みたいなアイテムが、未だに自家発電(!)で生きていた。
皮肉にも。
人類の繁栄はもう終わってしまったのに、生殖本能を助長する機械の女の子だけが。



十円が切れて音声は止まった。

それからロボは──きみは、世界をめぐって貨幣をさがす。

またあの女の子に会うために。


きっときみはこう言いたい。

「僕はほんとうはロボじゃないんだよ」

「コールドスリープから目覚めた少年なんだ」

「自分を機械と思いこんでしまっただけなんだ」

そして。


「だから、僕達というアダムとイブがいる以上、人類はまだ滅んでいないんだよ──しんじてくれるかい?」


なんとも小洒落たナンパで。
どーにもイカレた恋だった。

きみとSEXがしたいです…。
そう言っているだけなのに。



かくして、ポンコツ機械とエロ機械は、人気のない世界の片隅でダンスを踊る。
BGMはカーティス・メイ。
不気味なまでの陽気さは、滅んだ世にこそ相応しい。


《終》

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[ 2012/06/24 19:29 ] ネタ帳 短編 | TB(0) | CM(0)