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把握しきれなくなってきたから一度キャラ全員の「現在」を書こう!のコーナー。

ジョウ
街のあちこちで起こる事件に翻弄され駆けずりまわってる。
でもまだ無力(筋肉痛、魔法使えない、パイロット能力喪失中)だから
ほとんど何の役にも立ててない様子。
基本的には【裏切り者】【放火魔】【魔女狩り】を追っている。

チルティス
谷の警備。不眠不休。(こっそりジョウの警備)
街を包む結界は耐久力に限りがあるため、
敵を接近させないよう街到達前に叩く。

ジーン
森の中で魔術士&ゴーレム軍団とドロドロの泥仕合で交戦中。
敵国の戦力の1/7を一手に引き受けている。
生死不明。
彼がいないと結界は維持できないし怪我人も治せないしジョウも復活できない。

フリアグネ
戦火に包まれた街を他人事のようにウロウロ。金髪の幼女と行動中。
ジョウの見舞いに来たときカーズと揉めた。
なんか怪しい。

カーズ
行方不明。

ヤカ(金髪の幼女)
おなかいっぱい。

ジェノバ
発狂。


シュリ
捕虜。元々「敵」「味方」の意識がうすく、あっさり侵略を諦め投降。
ジョウとの幾つかの条約締結のあと、自由行動が認められる。
現在は同年代の街の子供たちと遊びつつ、役目が与えられるのを待っている。
(戦闘能力健在。なぜジョウが彼女を泳がせているのかは不明)

ルドルフ
地獄の特訓キャンプ場をつくり、街の住民達を兵士として鍛えてあげている。
同時に付近の森や山から「軍馬」の調達も行っているが、
騎兵を戦場に出荷できるのはもうすこし後になりそうだ。

ミコト
敵に鹵獲され捕虜になったと推測される。
行方不明かつ生死不明。


クラディール
病み上がりのジョウに代って軍師代理として全軍の指揮中。
ぶつくさ言いながら指示指示指示。
彼女が疲れ果てて眠るとユリティースの行動時間となる。

ユリティース
飛行および範囲攻撃力を買われて山脈側~湖方面まで警備中。
妹がエルベラの正面を護っているので、彼女は後門を護っている。
敵軍が集中する場所をねらって空爆。男爵とはよく競合する。

ベルディッカ
武具の作成、整備、修理を担当。
街の人々と協力して物資や兵站の指揮も行う。
優秀だが幼い体で徹夜は辛いらしく、よくうつらうつらと舟を漕いでいる。


男爵
エルベラの領地“すべて”の防衛を担当。
笑いながら大規模破壊魔術をはなつ「悪魔の怪人」。敵のトラウマ。

放浪者
無関係(マイペース)。しかしたまにお使いくらいには行ってくれる。
嵐のような激戦のさなかでも平然と外出できる稀有な存在。

絵画人
ジーンなき現在の結界担当。
修復に追われて不眠不休。ヘンなテンションで笑いがとまらない。
師匠wwwwはやく帰ってきてwwwwwww


ゴーレム機操術師四天王(笑)
冒険者の宿でだらだらニート生活。なにやってんのお前ら?


街の人
戒厳令のさなか、半分は普通に生活(店の経営、医療、食料生産など)し、
半分は徴兵されている。
敵主力との戦闘は主に魔女や奇人がおこなうが、
広範囲にわたる警戒、補給路の防衛などには人手がいる。

ルドルフに鍛えられ、マイルスに癒され、
ベルディッカ作の特別勢装備に身を固めた兵士たちの戦闘力は(急場しのぎにしては)高い。
が、それでもエルベラ兵のラグネロ兵に対するキルレシオは1:3である。
(一人倒すあいだに三人やられている)
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[ 2013/10/11 12:02 ] 小説 《機神エルベラ》 | TB(0) | CM(0)

銃の達人VS鳥籠の少女ナナセと彼女のペット

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[ 2012/12/30 20:54 ] 小説 《機神エルベラ》 | TB(0) | CM(0)

戦況報告1

ついでに小ネタ。
戦え!機神エルベラの最後に挟んでいた戦況報告。

もともとこの作品は友人が管理してるwikiで連載してたものだから
その時に行っていた小ネタや番外編で、まだこのブログに転載していないものが
チラホラあるのです。

まぁ、少年漫画のコミックスのおまけページ的な感じで楽しんでいただければw にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2012/12/15 00:03 ] 小説 《機神エルベラ》 | TB(0) | CM(0)

剣の達人VS看板娘シーナとお喋りな武器たち、ちょっとしたオマケ

前回の更新のときに入れ忘れてました。
ちょいとした幕間の掛け合いです。
でもこのシークエンスが無いと微妙に次回の話が成り立たないという、面倒臭い部分でしたw にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2012/12/14 23:57 ] 小説 《機神エルベラ》 | TB(0) | CM(0)

剣の達人VS看板娘シーナとお喋りな武器たち

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[ 2012/11/20 09:47 ] 小説 《機神エルベラ》 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その18「邪魔:よっぱらい」

セラの村。
ティア・グルー大陸の東南東の小さな里。
この異世界に来てから、はじめて触れる人間の文明。

布が名産。

彼らが作る織物には様々な力が宿るという。
『布使い』とでも言うべき一族の末裔…だそうだ。

そういえば、この村の【創造主】(何のことだろう?)である少女セラも、
てるてる坊主みたいに首から下をすっぽりと布で覆っていたな。

あれにも何か…秘密があるのだろうか?



僕はワイワイ騒いでる住民たちの会話からそんな情報を得ていた。
村の中央広場に車座になって集まり、焚き火をおこし、宴さながらに話し合うセラの村人たち。
麦の収穫量がどうとか、今月は家畜の乳の出が良かったとか、
それはまぁ実に平和な会議だった。

セラは輪から離れずっと村の外の暗闇を警戒している。
斥候というか、守護者というか、用心棒というか…そんな役割らしい。

ときおり村の小さな女の子たちが果物と飲み物を運びにいくが、
「危ないからここには来るな」と、すげなく追い返されていた。

「セラ、いらないって」「きちゃだめーって」「おいしいのにねー」「ねー」女の子たちが言う。
「そか、ならええよー。あの子の分は取っておいて後であげような」老人が慣れた調子で答える。

ふぅん…。

村人と同じ立場じゃないのか。なんだか不思議な距離感…と思ったけれど、
さっき騙されたわだかまりもあって僕は“ふーん、ヘンなやつー”的態度に出る。
“別に興味ありませんよ”的な。

…我ながら子供だ。



「おう旅人さんよ、セラの方ばっか見やがって、へっ、そーんなに気になるか?」

――と、若い村人が、いきなり話しかけてきた。

たしかトビラムとかいう名の、浅黒い肌の男だ。ゴツい顔。農夫らしい麦藁帽子。
片手に泡だつ飲み物がはいった陶器の杯を持っているところを見るに、既に酔っている。

うん?なんだろう、まさか彼のほうから話しかけてくるとは。
どうも僕に反感を持っているような気がするんだよなぁ、この人…。

「いえ別に…」適当に答える。
「言っておくけどセラは俺のだかんな!」剛速球が返ってくる。

「は…?」


「この村ではなぁ、柔肌を見られた乙女はぁ、うっく、
その、その相手に操を捧げなきゃならないって風習があんだよ!
ういっく…わかるかぁ?ああん?つまりハダカを見られたらケッコンってわけよ!」


頭大丈夫かなこの人…。相当酔ってるな。
僕は「あ、そうですかー、超人権侵害ですねー」とか適当に相槌を打つ。


「でぇ、オレはぁ、13歳の時にぃ?
川で溺れちまったところをよぉ、水浴び中のセラに?助けられたからぁ?な?」

「はぁ…」


「おいおいおいここまで来たらもう理解しろよぉー!皆まで言わすか!
つまり!そんときこの俺は、
セラのハダカをばっちりしっかりくっきり見ちゃってるわけ!

な、だからその責任を取って俺とセラは結婚するの。

はいお前の片思い終了ー。
おわりおわり!解散!とっとと諦めてね!」


「……トビラムさん、別に僕は」
「でぇっへっへ、美人だよなーセラ。あの冷たい眼がなんてーの?グッとくる感じ?やべぇ!」

……。
…どうしよう、すごくうざい…。
ある意味、僕がこの世界で出会った中でいちばん話が通じないモンスターがそこにいた。

すごい勢いでヘンな酔っ払いに絡まれてゼンゼン話が進まないじゃないか…。
暗闇の奥で、忌々しげなセラの舌打ちが聞こえた。


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[ 2012/11/12 13:18 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その17「罪状:うそつき」

青白い月と、篝火の赤が、混じり乱れる裁判の夜。

セラの村の住民たちが村の中央に輪をつくっていた。
全員が布を身に纏い、布で顔を隠す。異様な雰囲気を醸し出している。

大剣を背負った少女セラに率いられ、手鎖のままでその盆の中心に立った僕だったが――

(…どうしてこうなったんだろう)
(僕はここで裁かれて、処刑されちゃうのかな)
(ヒトとモンスターとの戦争に)
(手なんか――口なんか出さなければ、もっと生きていられたのかな…子春先生…)

ぼんやりと逡巡しながらも、しかし一方で頭のどこかが冷静なままだった。

(ううん。違うよな。未熟だろうが、余計な世話だろうが、甘かろうが)
(嫌なことは嫌だと“口に出す”ために、僕は、あらゆる世界の言葉を勉強しているのだから)

血は嫌いだ。
戦争は止めて欲しい。
どこの世界の誰とでも、“話せば判る”のだと…強く強く信じてる。

それが僕だ。
ニカイドウという名の、青臭い、理想主義の中学生の生き方なのだ。

きり、と前を向いて、異邦人たちを恐れないようにまっすぐ背筋を伸ばし、僕は喋る心構えをする。

これが裁判だっていうなら、僕は見事に自分を弁護しきってみせる。

――舌戦なら負けないぞ!来い!



「あー、それでは――セラの村、第さんじゅう…えっと、36?まぁその辺の、定例会議を行うぞー」
面倒そうな気の抜けた声で代表者らしき老人が話し始めた。
…あれ?僕は若干拍子抜けする。

「おぉ」「うぃっす」「よろしくぅ」「きゃームラオサさんがんばってー(棒)」
村人たちも適当きわまりない合いの手をいれている。
んんん?な、なんだろう、このユルユル感…。

「今季の議題は…むう、暗くて手元の羊皮紙が読めぬ…あー、えー、ルリ麦の収穫が」
「おじいちゃん、あたしがよんであげる?」
「おうっ、すまんなミルテ。年はとりたくないもんじゃのう、はっはっは」

「ってゆーかオサ、もうこの布とっていい?顔が覆われて息苦しいしさ」
「ええよ、それただの伝統スタイルじゃし」
「俺もとっちゃお」「だね、なんか怖いし」「ぷはー」「あつかったねー」

「あ!今朝セラにビンタした旅人さんだー!」
「ほんとだ!やっと眼を覚ましたんだね、おはよう!」
「いやもう夜だし早くはないなw」
「じゃ、おそよう?」

「まーとりあえずアンタもこっち来なよ」
「身体痛くないかい?セラん家の地下で寝かされてたんだろ」
「セラは怒らすと怖いからなー」
「ほんとだよ。君、よくあの子にビンタなんか出来たよなw」
「何があったか聞かせろよ?みんな興味津々なんだから」

「ねね、きみってセラの彼氏ぃ?」
「え、なになに、痴話げんかなの?」
「ひゅーひゅー!」
「ちょっと待てそれは聞き捨てならねえな!セラの恋人はこの俺、ト」
「これウチのかみさんが作ったお菓子なんで、どうぞみんなで」
「わお、やったぁ!アトリんとこの果物パイは最高だもんねぇ!」
「聞けよ!」
「旅人さんもこっち座ってー。ほら、おいしいよ?」


……。
どうしよう、想像してたのと違う…。
これ、おもいっきり田舎の村の井戸端会議じゃないか…。

“裁判”なんて物々しい言い方をしたの、誰だっけ?

僕は無言で振り返り、後ろに控えていた少女に眼で苦情を訴えてみた。


黒髪の少女は、
「ふん…殴られたお返しだよ」
と呟いて、ぷいとそっぽを向いた。

まったく。結局僕は、この子にまんまと脅されて、踊らされたってわけか。
ホッとするやら、悔しいやら。
複雑な苦笑いを浮かべながら、このニカイドウが言葉もない。

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[ 2012/11/11 02:02 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その16「開廷:まじょさいばん」

結局――僕は青臭い、理想主義の、ただの中学生だった、ということだろう。

「話せば判る」を信じていて…。
「争いは何も生まない」なんて本気で思っていて…。
「殺すより他に道はある」と代案すら持たずに喚くばっかりで…。

だから、その村の英雄たる彼女の頬を張った僕は、地下牢に捕らえられていた。



経緯はよく覚えてない。
よく晴れた日のしたで、争う二つの勢力のはざまで。
目の前に作られた輪切り死体の血に酔って。

前述のような、どうしようもない戯言を喚きながら彼女の胸倉を激しく掴んだ、んだっけ。

驚いた、まるい瞳。
布によって締められる彼女の首筋。
暴力を咎めながらも暴力でせまる矛盾した僕を、彼女は不思議そうな眼でみつめて…。

そして軽く手首を利かせ、半握りの掌で僕の顎を打った。


結果、土を塗り固めて作られた分厚い部屋で横たわっているダサい僕のできあがり、というわけだ…。
高い窓から青白い月。灯りはそれだけ。後ろ手に鎖。鎧も荷もなくほぼ半裸だった。

(いてて…)まだ顎が痛い。やばいなこれ、うまく喋れるかな?

僕はひとりごちる。
月がとっても青い所為なのか、あの目の前が真っ赤になるような怒りは、いまはもうない。
でも…後悔と、喪失感があった。



もぞ、と身じろぎをしてみてあたりを見回す。
砂塗れの部屋は片隅にぼろきれがあるだけでほぼ空っぽだ。
三方が壁で、一方が…ううん?ジュウタンっぽい複雑な模様の布だ。
牢なんだから鉄格子とか檻じゃないの?あれ、もしかして簡単に出れちゃう?

と思ってイモムシのごとくウネウネ近付いてみるけど、その布に足のつま先を触れさせた途端、
じゅうたんがバリィィ!と裂けて猛獣の形になる。うわ!?

あわてて足をひっこめる。がちん!空振った歯が鳴る音。
布は三度あばれてすぐ力を失い、ふわりと落ち着く。ゆらゆら揺れる魔術のカーテン。

「お、おお…これは恐ろしい“牢屋番”だな…」

「だろう?この村の特産だよ」

いきなり誰かの声がして、その布がめくられたものだから僕は驚いて飛びのいた。

「せ…」
「私の誇り高き戦いを邪魔したオマエには、その布でできた寝巻きでも着せたいところだぞ」

セラ。

軽蔑した眼。

月光が彼女に化粧を施して、とても美しい。


「――来い。裁判がはじまる。
朝まで、せいぜい好きに喋るがいい」

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[ 2012/11/08 19:44 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その15「少女:セラ」

『ニ、ニカイドォー?ダイジョブ?ヘイキ?』
藪に伏せたまま血が出るほどに唇を噛み締めている僕の様子をゴブりんが訝しがっていた。

当然かもしれない。いま僕は尋常じゃない。
いつのまにか冷や汗まみれで震えてるし、過呼吸気味だし、瞳孔も開いている。
うまく言葉が聞き取れない焦りから、何も出来ない危機感から、激しい吐き気を覚えてるのだ。

「戦はだめだ――血は流れちゃだめなんだ――」

ゆらり立ち上がる。
藪から戦場へ視界がひらける。
数体のモンスターがこちらに気付いて仲間に知らせている。

『プ、プギ…!?』友人の緑鬼が驚いて服を引っぱるけど無理やり歩く。
「離して」
『ヤ、ヤダッ!ニゲヨウ!アブナイヨ!』
「離して」
『ニカイドォ!ドーシタノ!?』
「離して」

モンスターたちとは別の意味で、頭に血が上って狂戦士化(バーサーク)している僕のことを、
親愛なる友人ゴブりんは初めて眼にして戸惑っているに違いない。

構わない。この安全地帯から飛び出したい。戦争を停めたい。
無策でも自信がなくても弱くても、僕に植えつけられた強迫観念は僕を行動させてしまう。

駄目だ。絶対に。血は、血は、血は、血は、血は――。


ところが。

セラの村へ続く街道へ姿を晒した僕、
駆けつけた怒りの表情の緑鬼、
泣きながらとっさに地面に手をついたゴブりん――

の、

頭上を跳び越して、

まばゆく白い布をひるがえし、

砂の大地に裸足のつまさきを触れさせる前に、

“彼女”――――が、その背負った大剣で全てを終わらせてしまう。


はぁ?誰?


太陽が降り注ぐ真昼の出来事なのに、一瞬夜になったように感じたのは
その女の子の剣が、花火よりも刹那く、儚く、まあるく咲いて閃いて輝いたからだ。

スローモーションで輪切りになっていく緑鬼。
散る鮮血。
はためく――純白の布。

ズクン…!

「ふぅ…大丈夫か?
災難だったな。我が名はセラ。あの村の【創造主】だ………………痛っ!?」


僕は思いっきりその女の子にビンタをした。

己の頬をなで、きょとんと眼を瞬かせる女の子の背後にいまも怪物に襲われてる村があり、
見ると村人も怪物も響き渡ったその音に驚いてこちらを見ていた。

構わない。

怒っている。

僕は――怒っている!

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[ 2012/10/25 12:34 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その14「状態:ばーさーく」

砂を巻き上げる風。平野への道を僕らは走る、
密林を抜けたすぐ先に――
五角形の柵に囲まれたセラの村があった。

(はぁっ、はぁっ――やばい、もう交戦しちゃってる!)
『マッテェ、ニカイドォー』
「ゴブりん、一旦隠れて近付こう!こっちだ!」

道のそばの藪に伏せて、すこしづつ匍匐前進しよう。
村の入り口――モンスターの集団が群れている其処へ。


炎の踊る松明の先端が青空に掲げられ、リーダーらしき兜の緑鬼が甲高い吼え声で絶叫。
『ギィィィイイイィイッィイ!』僕にはまだ理解できない彼らの言葉だけど、きっとこう言っている。“殺れ”!

呼応して、押し寄せ、村の門に雪崩れこむ【はじまりの樹】の種族。
完全に頭に血が上って狂戦士化(バーサーク)してる…!ちくしょう、戦う理由はなんだんだ!?


村の門からもナベの蓋やら農作業フォークで武装した村人たちがパラパラと集まってくるけれど、
その顔は青ざめている。どうにも腰が引け、怯えている様だ。共通語が聞こえる。

「ワぁアっ!奴ラ、また襲ッてきやガッた…!」

ゴブりんから習ったイントネーションとはかなり違って聞き取りづらい。
モンスター訛りがない“ネイティブ”の共通語ってこうなのか…。

「家畜を村のナカに!」
「うわアぁん」
「び…ビビるな私…かまエル、槍で突く、ニゲる…」
「ぶっ殺す」
「トビラム!ナにをシてる!?はヤく○×△を%#$んだ!」


うん?なんだよ、肝心なとことが聞き取れないぞ!?

「だ、だけどオサ! ○×△はいねぇンだ!今、&浴ビに¥――」

くそっ!もっとはっきり発音してよ村人A!腹筋の鍛錬が足りないよ!
はやく、はやく戦の事情を掴まないと介入できない――!
共通語を操り、同時にゴブりんを操る異世界人の僕なら、双方の陣営とコミュニケーションがとれるのに!

きっとこの戦地を調停してみせるのに――!

このままじゃ、


ズクン…


(ううっ…?)

血と肉と骨と皮と眼球と髪と脳がでたらめに混ざった肉塊。
お姉ちゃん。
我が家のバスルーム…。


そして嫌な光景が、僕の脳裏でフラッシュバックする。

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[ 2012/10/25 11:12 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その13「イベント:せんそうをとめろ!」

密度の高い森が左右に展開している道。僕とゴブりんは転ばないように気をつけて歩いた。
すこし坂になった土の地面をじゃり、と踏みしめ――

ようやく、拓けた場所に出る――目的地のがけに到達したのだった。

『アギャア…ッ!』
「…わぁ…これが…この世界の風景かぁ…!」


ぬっと空中に突き出した僕らのいる崖の鼻先。
青灰色の岩肌が聳え立ち、ときおり潅木を生やしながら遥か足元の大地へと続く。想像以上に標高が高い。
眼下はしばらく鬱蒼とした森。大地を覆う青と緑と茶のブロッコリーみたいな木々の頭。


『ア!アッチ、ゴブりん ノ スミカ!』左手側、森の中にミステリーサークルみたいな拓けた場所がある。
なるほど、ゴブりんの集落はあの位置か。わりと近いね。地図に書き込んでおこう。


そして、その森が途切れるあたりから世界が広がっていた。

広大な平野。

なだらかな丘が幾重にも組まれ、起伏を造っている。

かと思うと太陽と空を突き破らんばかりの鋭い尖峰が、地平線上に立っていたり、

大地を薙いだような深い渓谷が僕らの行く手を阻んだり…。

不思議なことに、世界のあちこちには何か記号のようなものが地面に刺さっていたり、浮いていたりした。

Θ。ヾ。Ю。$。∇。なんだろう?建築物…?


竜が飛ぶ。蛇泳ぐ。平野をウサギの群れがゆく。

砂漠を移動中の亜人種族。トカゲっぽいかな?
サボテン型魔獣を剣で切り裂き、その体内の水をガップガップと飲んでいる。

谷を歩くのは、背中にランプ風の発光体を吊り下げた毛皮・単眼・四足獣のモンスター。(たぶん全長3m)

大陸の端の無人島では、首のなが~~いカメが甲羅に全身をしまって首だけで木をムシャムシャ食っていた。(恐らく45m級)


おおう…なんてフリーダムな生態系…。


「すごい…」思わずつぶやく。『ネー』とゴブりんが相槌をうつ。

「わぁ…地図で知るのと実際に観るのとじゃ大違いだ…!
ねぇねぇゴブりん!あの宙に浮いてる逆さピラミッドは何?生き物が全体的にデカくない?」

『ウォレ、モリノソト、サッパリ ワキャラン!』
「そっか…なら、そのうち一緒に冒険して調べてみようよ!」
『ウン!』

大冒険の予感で高まったテンション。笑顔で、互いに肘をぶつけあう僕らだった。



…と、あれがセラの村だろうか?

ぽかぽか陽気の入道雲の下、僕らがいる森の近く、平野のほど良き片隅に、
積み木でできたオモチャのような小さな村がある。

村を囲む五角形の柵――木造りの家――わずかな畑――羊?らしき家畜――付近の小川で洗濯する女の子たちまで見える。

(いた!人間だ!やっぱ嬉しいな)

牧歌的で平凡でごく普通な、中世くらいの文化レベルの村、がある…の、だけど。


「んん!?」
『プ、プギャァ!?』


そのセラの村からいま僕らがいる森へと続く道のりの途中に、ある一団が見える。

まだ昼だというのに松明を掲げ、剣や鎌をガチャガチャいわせる物々しい雰囲気の――30名前後の、緑色の鬼。
ぼろきれを纏う低身長。
子供みたいな体格。
でこぼこ頭に木の根っこみたいな指。
殺気だった眼光。
緑色の肌――。

武装したモンスター達が、平和なセラの村を襲おうとしている…?
と、いうか、それより…緑色の鬼、あの姿…。


『ア、アレ!ウォレ ノ ナカマ!』
「なんだって!?」

やっぱりそうか!ゴブりんの集落にいるはずの、彼と同じ種族の仲間!でもどうして!?

『ド、ドウシテ…』彼も困惑気味で涙目で、僕の脚のジーンズをきゅうと掴んでくる。


くっ…悩んでるヒマはない!
僕は叫ぶ。
「ゴブりん!ツタでロープを作って!このまま崖を降りてセラの村へ向かおう!」


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[ 2012/10/23 10:34 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

【憑き物使い】敦賀屋檻髪VS医者と三人のナース

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[ 2012/10/19 17:45 ] 小説 《機神エルベラ》 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その12「到達:がけ」

彼…錆びた鎌を武器にする、ぼろきれを纏った緑色の鬼…ゴブりんは、
自分は【はじまりの樹】から生まれた種族だと語った。


今朝、ゴブりんと握手したときの感触を思い出す。
(緑色で、ざらざら粗くて、鋭い爪の生えた、節くれだった植木みたいな指)

緑色の肌。植木みたいな指。ツタを操る能力。


…言われてみれば、たしかに植物由来っぽいかも?



拙い彼の言葉からはそれ以上の情報は得られず、結局僕は【はじまりの樹】の種族って何なのか
よく分からないまま旅を始めることにする。

スタート地点の洞窟“ザ・ホール”を、ゴブりんのツタ使いの能力で埋めなおしてもらって、
拠点を荒らされないようにしたうえで、まずは地図に載っていた高台を目指そう。

僕らがさ迷うこの森は小川沿いに行くと高い崖があり、そこから周囲を一望できるらしい。

なんのことはない、あの装備と地図をくれた豚戦士オークんがいた探索地点からほんの数メートルの所だった。


「あの時は3匹のモンスターと遭遇したから、今回もそれくらいは覚悟した方がいいね」
『アギャギャ、ヘーキ! ウォレ、リッパ ニ タタカウ!』
(大丈夫かな…?)

なんて心配するも杞憂に終わる。ゴブりんは頼もしい。

藪から巨大で獰猛なオジギソウっぽいモンスターが現れても、ゴブりんはさっと地面に手をついて能力を発動。
その怪植物自身のツタで全身をちょうちょ結びにしてしまう。

おお、なるほど、植物系に強いなこの力…!


しかしどうも生きてる植物でなくては操れないらしく、
途中ちょっとした谷を渡るための架け橋を作れないかと、そこら辺から切り取ってきたツタを渡してみたら
イヤイヤと首を振って『シンデル』と突き返してきた。

地面と接続し、きちんと養分摂取と成長をしているツタ…では、さすがに橋までは作れないっぽい。
そうか、たくさん結んだり重量をかけたりするもんな。加工途中で死んじゃうとダメか。



「ねぇゴブえもーんお腹すいたよーう」とすっかり頼りきりになった僕は、
澤のそばをてくてく歩きながら目についたアフロの樹のてっぺんの美味しそうな木の実を採ってもらう。

『ギギ、ウォレ ニ マカセロー!』鼻息も荒く元気よく木に登りだすゴブりん。

あ、この道中でもそうじゃないかと思ってたけど、やっぱり。この子たまに自分の能力のこと忘れてる…。

ツタを使えばいいのにフンフン目を輝かせながら頑張って木登りする彼を応援しつつ僕は微笑む。
彼はまだ子供なのかもしれない。上手な使い方を覚えればきっと強くなる。


使い方次第なんだ。
僕の話術とおなじく。


ゴブりんが採ってくれた木の実は水気をたっぷり含んだパステルピンクの茄子みたいな楕円形のフルーツ。
かぷり齧れば甘くてすこし粘り気のある果肉がひんやりと口を満たす。なかなかウマい。

「うん、これはミミミの実と名付けよう」僕のネーミングセンスは子春先生によく笑われてて不評だったなぁ。


だけどこの世界は知らないことだらけだ。
僕が自分で、すこしづつ発見して、研究して、名付けていかなきゃいけない。



…そして、崖に出た。

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[ 2012/10/18 13:31 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その11「能力:ツタつかい」

出発の朝。消えた焚き火。宿にした洞窟の前で。

「おーい!いつまでムクれてんだよ、
まずは見通しのいい所を探して、君の集落かセラの村か、どっちか近い方に…」


『…』藪をかき分けはじめた僕に尻目に、ゴブりんはまだ腕組みをして座り込んでいる。
まったくもう。
僕はため息をついて彼の前に回りこみ、しゃがんで目線を合わせる…うは、このイヤそうな眼!


「…ウソをついて悪かったよ。本当にごめん。

あの甘いお菓子をきっかけにして僕らの関係は始まったんだし、
君が僕を手伝ってくれる理由の大部分であることも事実だと思う。

でもねゴブりん、僕らの友情はもう、“食べ物をくれる”“くれない”なんて、そんな単純な利害関係じゃないだろ?」


腕組みをし、眼をそらしたまま緑鬼が『……ンプー』と鳴く。
頬を膨らまして怒ってる怒ってる。
だけど僕は、ちいさな彼の前に片膝を突き、けっして眼をそらさない。


「君と僕とは“友達”だ。
“利害”なんてなくても、“ごほうび”なんてなくても、一緒にいたいと思ってる。
…少なくとも僕はね?

――行こうよ。

お菓子なんか目じゃないくらい素敵な冒険がきっと、僕らを待ってるんだよ」



自分の右手を左肩にのせて、肘を、ゴブりんのほうへ突き出す。
君が教えてくれた親愛のサイン。

「……」

『……プギャ』



…駄目か。僕の友人は意地っ張りだ。
そして僕は本音を語るのがヘタでいつも嘘くさくなる。

ため息をついて、僕はしょうがなくゆっくりと立ち上がる。セラの村の方角へ。荷を持って。


「まぁそうだよね。僕が元の世界に戻る旅に、君がついてくる義理なんてないしね。
あーあ…残念…。
僕の世界を君に見せたかったよ。イチゴ大福より美味しいものだっていっぱいあるのに…」


『プ…!?』


切り株に座ったゴブりんの肩がぴくり、僕ニヤリ。


「さよなら。君はポテトチップスもキャラメルもチョコレートも源氏パイもみたらし団子も
エクレアもプリッツ・サラダ味もうまい棒もチートスも暴君ハバネロもさきイカもレモン飴も干し梅も酢昆布も
ベビースターラーメンもハーゲンダッツのアイスも“きのこの山”も“たけのこの里”も知らずに生きることになるんだね。
僕はそれがとても残念だけど仕方ないね」


『プ…!プ、ギ…』

「どれも超ウマいのにね」


『プギャァアンッ!マッテ、ニカイドォーー』
やった。思わず叫んだゴブりんに僕は笑顔で振り向く。

と、ちょうど緑鬼の彼が地面に手をついたところからボコボコボコ!と土が沸騰したようにのたうち、
砂をばぁんと跳ねあげ登場した緑のツタが僕のほつれた靴をぐるぐる巻きにしている場面だった。

…ん?

え?
はぁ?

植物のツタだ。
洞窟の入り口を硬く覆っていたのと同じ種類の、わずかにトゲのある自然の鞭。

それが今、僕の不完全だったブーツを修復している…え、ごめん何これ?


『ウォレ モ イクヨォーー!オイテカナイデ!クツ ナオシテ アゲリュカラァー…』


てってってと必死で走り、泣きながらヒシと僕の脚を抱きしめてくるゴブりんは可愛かったけど、

なんか仲違いも終わって一件落着めでたしめでたしって雰囲気だけど、

え?え?え?だからちょっと待って、何この超常現象?



いまも足元でシルシル蠢く蛇っぽいツタを見ながら、僕は此処が異世界だってことを思い出す。魔法

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[ 2012/10/13 21:38 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その10「準備:ばんたん」

異世界二日目の、朝。

普段はカスカベに住み、だけど突然 剣と魔法の世界とかにジャンプしてしまう癖を持つ中学生=ニカイドウ=僕。

あったかくて樹木もフサフサなこの南国っぽい世界で、はじめてできた友人=緑鬼=ゴブりん。

僕達は拠点にしてたツタの洞窟=奥は未探索=名づけて“ザ・ホール”から出発する準備をする。


「…だからさ、機嫌なおしてよゴブりん」
『……。…プン』


今、僕は木々の隙間からこぼれる朝日に目を細めながら、土の地面にしゃがみこんで“靴”をつくっている所だ。
自室からこの異世界にジャンプしたから今までスリッパだったのだ。
遠出をすると決めた以上、こんな心もとない足装備では旅はできない。

スリッパに補強用のツタをぎりぎり巻いて(ううん、こんなカンジかな…?なんかワラジっぽいな…)などと苦戦する僕。

大きな葉っぱに汲んだ川の水で、焚き火の始末をしている緑の友人。涙目。

『“ダイフク”…モーナイ……ウォレ、カナシヒ…』

「君がそんなに落ち込むとはね…あのイチゴ大福そんなに美味しかったかい?」

『ウマ…カッタ…!』涙がキラリ。

「ふぅむ、この様子なら大福をエサにもっと働かせられたかもなぁ…真実を告げるのが若干早かったか」

『ニカイドー、ホンネ、モレテル』

「ねぇゴブりん!じつは僕、手のひらから無限に和菓子を生産できる能力を持ってるんだ!」

『ニカイドー、ウソ、バレバレ』


とんとん、と座ったままカカトを打ち合わせ、“靴”の具合を確かめる――うーん。
どうも多少のほつれが残ったままで歩きにくそうだ。
だけど技術も道具もまだあまり無いし、加工するのはもう限界だろう。

仕方ない。あきらめよう…。


ま…これで、出発の準備は整った。

ちなみに、フロシキに使っていた、心臓に穴のあいたデザインの水色Tシャツはもう普通に着ることにした。
さすがに素肌の上からでは、あの初ボス戦の相手=3mの豚戦士=オークんから貰った防具を装備できないからね。


という訳で、現在の僕の装備は…

武器:ショート・ソード

兜:なし
鎧:くさりかたびら
靴:ツタのくつ

道具:このせかいのちず
    みずぶくろ
    さいふ
    けいたいでんわ
    かぎ
    にんてんどーDS   

…と、いうところだった。

食料は魚を燻製にしたものが2尾。少ない。道中で探していく他ないね。



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[ 2012/10/13 19:45 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その9「初恋:おねえちゃん」

少しだけ、思い出話。

この僕、ニカイドウはカスカベ生まれのニッポンジン。

恩師は英語の家庭教師・子春先生で、

友達はいるけど親友はゼロ。彼女もまだいない。好きな人はいる。

中学生。成績は普通。
でも体育と、サバイバル技術と、言語と文字にまつわる知識だけは頑張って鍛えている。
でないと危険だ。

なにせ僕は、自分でも制御できないタイプの異世界ジャンパーだから。


4人家族。

僕には姉がいた。

彼女も僕と同じ異世界ジャンプ体質で、
だけど7つの頃、
庭のイチョウの樹から 何処かの歪曲した時空間へジャンプして身体が裏返って死んだ。


美しかった彼女は、血と肉と骨と皮と眼球と髪と脳がでたらめに混ざった肉塊に成り果てていた。
庭の木から飛び降りた瞬間にジャンプして消え、数日後に家のバスルームで見つかった。


僕はそのとき泣き過ぎた所為で今でもどうも上手く泣けない。

涙が出るのは、目にゴミが入った時か、アクビした時だけ――。


「く、あ」

アクビをしたから涙が出た。
太陽がひどく目にしみる。

異世界にもちゃんと朝が来るんだ。当たり前のことに、僕はすこし感動した。

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[ 2012/10/11 13:40 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その8「選択肢:ヒトかモンスターか」

この世界はお盆の上のファンシーなケーキ。

スポンジが大陸で、彩るイチゴが街や村や洞窟で、したたるシロップが海で。

そして砂糖菓子でできた家のような、大きな城(?)が中央にひとつある。


僕はどこへ行けばいいんだろう?
わからない。

でも、とりあえずケーキを食べ始めてみよう。

人間と、怪物と、植物と、書物と、伝説と、死人と、嘘と、真実と、でたらめと、作り物と――

いろんな文化と話し合い、係わり合い、知り合っていくコミュニケーションの果てに、幸福はきっとある。


とりあえずは、まず――



『ンピ!』
「?」

朝焼けのツタ洞窟で、起きたばかりの緑鬼ゴブりんが、寝ぼけ眼をこすっている僕に元気に肘を見せる。


「え、なに?」

『ンピ!』
「まだモンスター語はわかんないよ、共通語で言って」

顔をしかめて、ぶんぶんぶん、と首を振るゴブりん。

『ン』と、やはり肘をつきだす。
「えっと…こうしろってこと?」

僕は真似してみた。右手を左肩に乗せて…、お、ゴブりんも同じ姿勢でにじにじと近付いてくる。

僕とゴブりんは互いの身長差を埋める工夫をして、こつん、と肘を軽くぶつけあわせた。

『ンピャーーーア…♪』
おお、盛大に鼻息を吐いて、笑顔で、すごく満足げだ…。


なるほど。

カスカベ生まれのニッポンジンである僕には、
スピルバーグ映画の“ET”で彼方からの来訪者とヒトが指を触れ合わせるシーンや、
少年マンガの“お坊ちゃまくん”で主人公が友達に行うユーモラスなアレなどがすぐに思い浮かぶ。

彼はきっと、彼らの種族特有の“挨拶”を、僕に教えてくれたんだ。


「“おはよう、友よ”ってカンジなのかな…なかなか律儀だね。
へへ、こちらこそおはよう、ゴブりん」

『プギャーンw』いやーん照れるーみたいな仕草。

今度は僕のやりかたで、彼の手をとって握手してみた。

緑色で、ざらざら粗くて、鋭い爪の生えた、節くれだった植木みたいな指。

だけど同じ体温が感じられる幼児みたいな手。



「さて、昨日は君、夕暮れ前にはもうダウンしちゃってたから話せなかったけど…
実はいくつか言いたいことがあります」

『プ?』

「いちご大福終了のお知らせ」

ププ!?

「そもそも一個しか持ってなかったんだ。だからご褒美はもう永遠にナシ。騙してゴメンね?」

『ッ! ッ!! プ、ププギャァアくぁwせdrfgtyふじこlp;!!!!』

「まぁそれはそれとして」


強引に抗議を黙殺してみた。
泣きながらぐるぐるパンチを放つゴブりんの額を手で押さえながら、僕は言う。


「地図がある。街へいこう。

セラの村か、君の集落か、どちらかに」


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[ 2012/10/10 23:01 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その7「日課:おべんきょう」

「さて…と」僕はひとりごちる。

実は、豚さんからもらった地図を眺めて、このとき初めて此処が
“ティア・グルー大陸の東南東、セラの村付近の洞窟”であることがわかったのだ。

まだ文字の解読には自信がないけれど、きっとそうだ。


先生の授業を思い出す。


どんな世界であろうとも、文字のデザインというものには意味がある。

日本語の…特にひらがなが、スズリと筆で縦書きされることを想定しているように。
英語の表記法のズレが、周辺国との力関係の変遷を表しているように。
古代エジプトの神聖文字ヒエログリフが、人物の顔で読む方向を示してくれているように。

すべてに機能的・記号的・呪術的な意味があり、成り立ちがあり、“そのかたちになった”理由がある――。


(だから…この僕に読めないはずが無いんだ…)

集中しろ。
眼の色を変えろ。

地図を彩っているこの世界の文字からは、きっとまだまだ沢山のことが分かるはずなんだ。


たとえば――この世界には左利きが多い。平均視力が良い。腕が長い。印刷技術はあるが伝達手段のメインは紙じゃない。…石板? 筆記具はロウのような堅い物がポピュラー。消しゴムにあたる物はブラシ。灯りはランタン。識字率は高くない。文字を書けるのは恐らく富裕層なら10代後半から、貧民なら30代から。複眼あるいは多指の種族がいる。手話や点字のようなものまである。言語の種類はあまりバラけておらず世界の反対側でも方言レベルの違いだ。テーブルと椅子の文化。多くの人間が酒好きだ。血統主義。魔術が存在する。戦士、船乗り、詩人の順で寿命が短い。死者への畏れは少なく墓が身近。過去に全世界的に耳が聞こえなくなる病が流行った。戦争が頻繁にある。○が否定、×が肯定。数字は桁の上がり方が不自然で、これは恐らく宗教的な何かが絡んでいる…。




「…………ぷはッ!


…さ、

さすがに疲れたぁーーっ」



どさり!と後ろに倒れこむ僕。
頭を使いすぎた。
くらくらして目を回してしまいそうだった。

ちくしょう…子春先生ならこんなの、一瞬でクセを見抜いちゃうのに…。


「は、はは…きょうのホームワークはここまでにしようっと…べつにテスト前でもないしね…」


悔し紛れに軽口を言って、すやすや眠るゴブりんの横で寝っ転がって、目に映るのはツタだらけの洞窟の天井。

焚き火のむこうの空は茜さす夕暮れだった。



(に、しても…この地図さぁ…。
こういってはナンなんだけど、“いかにも”なファンタジーすぎないかなぁ…?)

なんて思って、苦笑する。



地図に描かれた世界は、丸いお盆に乗っていた。

背景には太陽と月と雲があって、盆の上には美しい大陸と海が満ちていて。

おまけに、盆の端っこでは、海が滝になってざーざー零れ落ちている始末である。


(海水、どこに落ちてるんだよ…)


…僕に言語学以外の素養があればそこからも意味を読み取れたはずだけど、

あいにく地政学はC判定だった。

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[ 2012/10/08 01:56 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その6「拠点:どうくつ」

…あれから、例の洞窟をおそるおそる覗いてみて、

じめじめと苔むした、蛇のお腹みたいに不気味な洞穴の奥への道を、どうにか自作バリケードで封鎖し、

とりあえず入り口にできた生活スペースを今夜の宿と決めた二人。


ぱちぱち爆ぜる焚き火を世話する僕と、泣き疲れて眠ってしまったゴブりん…だった。



僕がこの世界に迷い込んだのが真昼の正午ちょうど。

まず慌てず騒がず、持ち物の確認と周囲の調査を行った。

小川(水・魚)、森(果物・キノコ)、洞窟(ツタ植物)を発見。

そのあいだに五度の遭遇(殺害1、逃亡2、交渉2)があり、仲間と刃物と色んなアイテムが手に入ったが…。


「まだ明るいけど、きっと夕暮れまでもうすぐだね。今日動けるのはここまでか」

太陽(数は一つ)の角度と、DSの内臓時計を見比べて、僕はこの世界のおおよその周期を推察する。
おっと、DSの電源はすぐ切っておかなくちゃ。
電池はなによりも貴重だ。
もちろん携帯が一番で、ゲーム機は二の次だけど…


(“異世界1日目”…僕、ちゃんと教えられた通りに上手くできたかな…?子春先生…?)


…そのうち僕は必ずホームシックになる。
そのとき、元の世界から持ち込んだ文明は救いの灯りだ。大事にとっておきたい。

へへっ、“ファイナル・クエスト”の中の勇者も、まだ育て始めたばかりだしね。


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[ 2012/10/08 01:23 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その5「初ボス戦:しょうり!」

崖下の澤をのしのし歩く豚戦士は、時折ビシリ!とソードを川に突き入れては魚を獲っている。
刃先に刺さった、血のしたたる魚を頭からまりまりと踊り食いする様はなかなか恐ろしいけど…。


・ ・
交渉を諦めるほどではない――この僕にとってはね――!


『ププッ!?』怯えるゴブりんの背を抱きかかえるようにして、僕はいきなり崖から飛び出す。
シダ似の植物をかきわけて、澤へとつづく砂利でできた斜面を降りる。
ズザーーーッ。
豚戦士はン!と鳴いて振り返った。
その拍子に剣から首なし魚がはずれ、弱弱しく哀れに砂利の上をぴたん、ぴたん…。


澤に降りたった僕と、腹話術の人形のように正面に抱っこされてるゴブりんは、完全にモンスターの視界に入った。

目と目があう。

恐れず睨み返せ。

来い!


*ぐぅぅららぁああああがぁっ!!


もはや言語とはいえない吼え声をあげ、豚戦士が僕らへまっしぐらだ!

僕は――!

涙目のゴブりんを頭上高くに抱えあげ、吼えた!


『動くな! 釣り針が腹に刺さって死ぬぞ!!』


*ぅぅうっ、うっ――!?


鎖帷子とショート・ソードの、豚によく似た巨大な怪物が、
こちらの言葉に――
つまり、僕のにわか仕込みの“共通語”に反応し、

砂利にひづめを突き刺してギャリギャリ…!と黒煙をあげ、ゴブりんに頭突きを食らわす直前で、急ブレーキした。

*ぶふぅ…。鼻息が熱い。



怪物に迫られ、僕がなにをするつもりなのかも分からず、
高い高いをされたまま泣き顔で疑問符をうかべるゴブりんを、
 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
腹話術の人形にして――言う。



『…お前が食べていた魚は、“うちのドレイ”が釣り損ねたやつなんだ。針がついてる。

迷惑かけたな…。

罪滅ぼしだ。もし良かったら、腕ききの治療者であるこの私が格安で

よく効く消化薬を煎じてやるが…どうか?』











「お!見なよゴブりん、このショート・ソード、魚をさばくのに最高だよ」


『…プギャァ……』


「ふふん、やっぱり刃物はサバイバルの必需品だね。この切れ味を戦闘につかうなんて勿体無い。なじむなじむ」


『……』


「なにうつ伏せになってぐったりしてんの。

あの豚さんも“命拾いした”って大喜びだし、交渉は大成功だったんだぜ?

ほら、剣の他にも色々お礼をくれたんだ。

水筒でしょ、地図でしょ、鎖帷子でしょ…」



『キョ……キョワカッタ……ビビッタ…モラシタ……ニカイドーノバカ………グスン』



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[ 2012/10/07 20:18 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その4「目標:ショート・ソード」

錆びた鎌を携えた緑鬼…ゴブりんは、太陽光を反射してきらきらと輝く河原を指差して、
それに負けないくらいきらきら輝く瞳を僕に向けて、言う。

『“キャワ”!』
「なるほど、“川”のことをこの世界ではそう言うんだね…じゃ、あの魚は?」

『ントー…アレハ…“スワッカーナ”!』
「ふむふむ…ありがとう、君のおかげでだいぶ言語のクセが掴めてきたよ」

『ギッギッギ!ウォレサマ エラヒ!ゴホウビ チョーダイ!』
「それはまだお預けさ」

『ケチー…』



僕達は夕飯のための薪を拾いがてら、周囲を探索していた。

ちなみに彼の話す“この世界の共通語”は、僕によって適度に翻訳されてる思って欲しい。

訛りも強いし、まだまだ幼稚で拙いボキャブラリィの彼だけど、学び始めの僕にはちょうどいい“先生”だった。


「…あ、また変な怪物が出たよ。いける?ゴブりん!」『ピッギーーーーー!』
“遭遇”はもう四度目になる。

腰掛けられるほどに巨大なキノコ。近付いたら目がついてたんでビックリして逃げたんだっけ。
樹木の枝にぶらさがった血吸いコウモリ。よく見たら下半身がヒルだった。気持ち悪いからサヨナラした。
ふわふわと煙をまくスライム状の軟体生物。ゴブりんが脚をとられたのでこれだけは頑張って戦った。

そして――

いま、僕らが崖の下に発見したモンスターは、それらとは一線を画すような巨大な豚面の戦士だった。

ねじれたピンクの耳、湾曲した鼻。みにくい牙!
フゴフゴうるさく鼻を鳴らしては、身に着けた鎖帷子についた自分の涎を神経質に腕でぬぐっている!

手には――ショート・ソード!


『プ、プギャ!?』
(きたぞ…刃物…!)

友人はそれを見て尻込みした様だが、僕はまさにこれを待っていた。

今の装備では――つまり、安物の、チャチな十徳ナイフだけでは不安だったんだ。

この世界を、生き抜くためには。


(よぅし、みてろよ、ぜったいに手にいれてやる――!)こきり、と拳を鳴らす僕。

涙目でかたかた震えながら鎌を胸元にかかえ、んぎゅ、と喉を鳴らすゴブりん。

小川に沿った砂利道の、すこし外れたところにある段差――シダに似た植物が群生する崖で、伏せる僕達だった。


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[ 2012/10/06 00:38 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

燃えろ!クレッセンとの決戦・その2

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[ 2012/10/05 21:04 ] 小説 《機神エルベラ》 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その3「仲間:ゴブりん」 

とりあえずお友達の腹を殴って気絶させてから、その辺のツタでぐるぐる巻きにした。

“暴力的なことは絶対に良くないけど、必要な場合はその限りじゃない”。

それは異世界ジャンプを繰り返す僕が14年の生涯で学んだ人生訓だった。



『ピギィィィッ!ギギッ!ギーーーーーーッ!』

ううん。身体を揺すって暴れる僕の友人に、その人生訓を伝えることはちょっと難しいかもしれないな…。
すごく怒ってる。緑の肌が真っ赤だ。

セラの村付近の洞窟、その入り口で、僕ははじめての敵との遭遇を終え、休息していた。



さて、すこしは周囲の調査をして安全を確保しなくちゃ。

洞窟が目の前にあり、最初は樹木で埋まっていたその入り口も、僕が切り出したツタの部分がぽっかりと開いている。

しまったな…もしかしたら内部にいるモンスターを呼んでしまうかも。

でも、まぁ、あれだけ自然によって封鎖されていた場所に昼行性の生物はいないはずだ。


背後はかなり深い森で、果物やキノコがあり、遠目に見ただけだが付近には崖や小川もあった。

人里はまだ見えない。この友人がすぐに出没した所を考えると、ここは彼らの縄張りなのかもしれない。

できることなら、異世界では最初に人間とコンタクトしたいものだけど…。



『ピィッ!』

…だけど、毎回それができるとは限らないしね。
怒れる彼は手ごわそうだ。


こいういう亜人種は、簡単な共通語くらいなら話せる場合も多い。


たとえファンタジー世界の言葉でも、人間の発生音域の範囲はそう変わらないので、ある程度はアドリブで解読できる――
というのが僕の尊敬する家庭教師、子春先生の持論だった。

僕はそれに従って生きている。

彼のモンスターとしての言葉はまだ分からないけど、
彼が人間である僕に伝えようと発してくれた共通語なら、かならず読み取ってみせる…!


そうだ、一応念のために、ちょっとだけモンスター語も読み取れないか試してみようかな。


「ねぇ、君のこと“ゴブりん”って呼んでいいかい?」

『プ、プギャ!?』
(訳:いいとも!)


「ほら呼び名がないと困るからさ。いいじゃないゴブりん。カワイくて」

『プギャァアア!』
(訳:素敵な名前だね!気に入ったよ!)


「あはは、ちなみに僕のことはニカイドウと呼んでくれていいよ。ヨロシクねゴブりん」


『ギーーーーーーーーーーーーーーーー!』
(訳:ヨロシクねニカイドウーーーーーー!)



ぜんぜん違う気がする。



まぁいいや。
こういうのは焦っちゃ駄目だ。

凄く嫌がってる緑色の鬼、命名『ゴブりん』に一応の挨拶をし、僕はそのデコボコの禿げた頭を撫でてみた。



ぐわしゅ!

「おっと」

嚙んできた。

もし彼の生態についてもう少し知識があれば
(つまり病原菌の有無などが分かっていれば)、
コミュニケーションの一環として噛まれてあげても良かったのだけれど、とっさに避けてしまう。


ぐわしゅ!ぐわっ!ぐわっ…!

「うーん、なかなか素直になってくれないなぁ…
僕はちゃんと子春先生の教えの通りに、相手と接しているつもりなのに…あ、そうだ」


思いついた。
洞窟前の広場の、数メートル向こうに広げておいてあった自分の荷物へと歩く。

(ちなみにTシャツを脱いで風呂敷状にしているんだよ)

この世界のことはまだ分からないけれど、僕の世界にはあの物語があったな、なんて。

思い出しながら、荷物から取り出す。




『ピギギギッ――――――――――――ぐぎゃ!!??』


吼え猛る緑肌の怪物の、その牙のはえた口に、僕は手にもった柔らかく白い球体を

――イチゴ大福を、

投げ入れた。



どんな言葉にも勝る友好の証。
――餌付け!
いわば魔物使いのマストアイテム、“モモタロウ印のキビダンゴ”である!



『むぐ、んむむむむ…っ!?』

目を白黒させながら口内の甘い甘いお菓子を噛むゴブりん。
とろけるような甘さに頬が緩んでいるのが分かる。
ああ、美味しそうだなぁ…。

『……』


ぽかぽか陽気に風が吹き渡る。いい気持ちだ。

ジャングルのざわめき、
遠くで鳥のなく声、
くぎゅう…と僕の腹が鳴る音。






しばらくの沈黙のあと。

『ウマイ!』


と、初めてゴブりんが僕に伝えるために“人間の言葉”で喋り、

僕はガッツポーズをした。


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[ 2012/10/04 22:07 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その2「職業:まものつかい」 

よく異世界に飛んでしまう僕だから、ナイフやライターは割りと必需品だ。

カギのキーホルダーとして備え付けてある十徳ナイフ。

昨今では刃渡り何cm以上は違法だとか、目的なしに持ち歩くのはイケナイと言われるが、

僕にとっては切実に必要なものなのでこっそり持ち歩いている次第だ。

それに、少なくとも今は逮捕される心配は無いしね。

なにせ僕は、今――



「うわぁああっ!?ちょ、ちょっと待っ…わーーーっ」

『ピギーーーーーーーーッ!』


洞窟の前でウロウロしていた僕を発見し、追い掛け回しているのは、もちろん警察官ではなく異世界の怪物だった。

ぼろきれを纏った緑肌の小人である。
そいつが手に持っている赤錆びたシックル(鎌)は、
どうみても僕のナイフよりも刃渡りが長く、凶悪な形をしていて、多くの血を吸っているはずだった。


「ああもう、言葉が通じないってすげー困る!
ええと――STOP!マテ!おすわり!ヤメテクダサーイ!」

『ギギーーッ!』
ぶん!ぶん!ぶんっ!

「ですよねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


ごろごろ!と土の地面を転がって、僕はなんとか鎌の攻撃を回避する。
ちくしょう、こんなアクションは苦手だ。
僕が得意とするのは――もっと姑息な手段。

『…グブッ!?』

こんな風に、握り締めた黄色い砂を敵めがけて放り投げるような、ね。
あわてて目を覆う緑鬼。よし!

地に伏したまま、僕は人間よりだいぶ身長の小さい怪物の両足をつかんで、思いっきり引っ張った!

これだけのサイズ差があれば、転ばせるくらいならカンタンさっ!


「取ったっ!」

子供のような体格のグリーンの怪物に馬乗りになって、ポケットからぱちんと音をたててナイフを取り出す。

その刃を半ば敵の喉元に埋めるようにして押さえ込む。

『グゥ、グギギッ…!』

「はぁっ、はぁっ…だ、大事なのはね」


緑肌の怪物は怒りの表情で、だらだらと涎をたらす…うう、手につきそうで嫌だなぁ…。


「大事なのは――」


僕はナイフを彼の首にあてる。たぶんここを斬れば死ぬだろう。

心臓が冷たく鼓動する。

この世界でならきっと、殺人罪には、あたらない。



ナイフをすぅと退けて、僕は微笑んで言う。


「大事なのは――もっと世界を知ることさ。

ねぇ君、僕に言葉を教えてくれないか?」




グリーンの怪物が涎を撒き散らしながら暴れ始めたので、僕はナイフを再び首に当てて、ため息をついた。

慌てない慌てない。
まずは、お友達から、始めよう。

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[ 2012/10/04 20:44 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

Level 7 ――その1「初期装備:いちごだいふく」 

僕はちょくちょく異世界に迷い込む体質が悩みの中学二年生で、

その日も家庭教師の子春先生の英語のレッスンが終わったと同時に、

自室のザブトンの上からティア・グルー大陸の東南東、セラの村付近の洞窟に降り立ってしまった…らしい。




吹き渡る風。

空は青く。

電柱もアスファルトの道路もなく、

そしてダンジョンの入り口を堅く覆っている奇怪な樹木にはとんと見覚えがない。

気候は…温暖だけど、風の乾燥した感じから推察するに熱帯ではなさそうだ。


「…ワーオ」

なんというファッキン・ワンダフル・ワールド。

ついさっきまで英語を習っていた余韻でそんな汚い台詞が口を出たけれど、

当然僕はカスカベ生まれのニッポンジンだ。


「うわぁ、“異世界ジャンプ”(これ)、確か二年ぶりじゃないかな?
まいったな。
子春せんせー、驚いただろうな…」

こういう時の慣わしとして、僕はとりあえず持ち物を確認することにした。



服装は、心臓の位置に穴があいたデザインの水色Tシャツに、デニムのパンツ。

自室からのジャンプだったので、足は裸足にふかふかのスリッパ。

携帯。
カギ。
財布。

ニンテンドーDSと“ファイナル・クエスト”。




――そして、右手に、かじりかけのイチゴ大福があった。



ジャンプする一秒前を思い出す。

(上手に問題を解けたニカイドウくんに、私からのごほうびだよっ☆)

「……」



子春先生。

できれば僕、かわのよろい や はがねのつるぎ が欲しかったな…。


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[ 2012/10/04 12:39 ] 小説 Level 7 | TB(0) | CM(0)

殺人鬼デイの人間カルテ~母親失格編~

★★★

殺人鬼デイの人間カルテ~母親失格編~は“九マイルは遠すぎる”形式のお話です。

休日のデイが占い師のところに遊びに行きます。
外は晴れ。医院を出るときに赤ん坊を抱いた女とすれ違って、がたんと音がします。

与えられる情報は、それだけです。

★★★



よく晴れた休日に、気の会う仲間とおしゃべりを。


-1-

占いというものについて、君は懐疑的なようだから…どら、ひとつ実演してみせようか。
そのすれ違った彼女について言い当ててみせよう。


たとえば…そうだね、まず彼女がこのビルに来た目的について。

彼女は君の堕胎医院を訪れた客だった、というのはどうだろう。

まさか?いやいや、ありえない話じゃないだろう。


まずここは5Fで、君の医院は4Fだ。

君は朝、ここへ向かうためにエレベーターを使っただろう?

そして君が降りてすぐ無人のエレベーターはいちど4Fへ向かい、今もまだ一階から戻らない。

誰がエレベーターに乗ったんだろう?
利用されたタイムラグを考えるに、まちがいなく彼女だ。

つまり彼女は、4Fで君とすれ違ってから何処にもいかずに、まっすぐ外へ出たんだ。
考えられる目的地は堕胎医院だけ。


だけど堕胎医院はザンネンながらお休みだった。無駄足だね。

ドッと疲れが出て、嫌な気分が彼女を襲った。
君も朝、うっかり種類の違うゴミを収集所に持っていってしまったことがあるだろう?

どうしてこんな、憎たらしいゴミなんかをまた苦労して持ち帰らなくちゃいけないんだろう――。
まだまだ家事や仕事は沢山あるのに――。

そう思うのは自然なことだ。
だから彼女も、つい、手に抱えた重たい荷物をその場に放り捨ててしまった、としたら?


重たい荷物――そう、赤ん坊を、だよ。


「がたん」の音は新聞じゃない。今日は休刊日だ。だいたい共同ポストなら一階にあり、音は届かない。
彼女しか君の医院のポストを開けられる人はいない。そして、手荷物は他にない…。


ひどい!堕胎医院に、もう生まれた赤ん坊を捨てるなんて…!って顔だね。
珍しく怒っているじゃないか。
そうだね、そんな無責任な母親、とっつかまえて説教してやりたいよね。


大丈夫、彼女はきっとまたすぐ来る。

なぜそんなことが分かるかって?

そりゃあ君、タロットのお導きさ――なーんて。
ふふ、すこしは占いに興味がわいてきたようだね。


君もいっただろ、堕胎医院に来たからには堕胎してほしかったのさ。赤ん坊とは別に、お腹にまだいるんだよ。



-2-


彼女が育児ノイローゼだった、と推理してみよう。
材料はいくらでもある。

どうして堕胎医院を訪れるのに赤子を抱えていたのか?

普通はお腹の子をおろすのに別の子供を連れてこないだろう…教育に悪すぎる!

普通なら子供は父親をはじめとする協力者が預ってくれるべきなんだよ。

そう…“ふつう”ならね。


彼女、長袖のセーターだったろ?
ふふ、そんなにびっくりするなよ。

周囲に妊娠を隠すのにうってつけで、夫からの暴力の跡を隠すのにも便利な、そんな衣服を適当に言ってみただけさ。


…。

彼女には味方がいなかった。
夫は暴れるばかりで、親類や隣近所もアテにならず、ベビーシッターに預ける金もない。

そんな状況でもないかぎり、堕胎病院には子連れで来ない。



孤立無援で子育てを始めて、ほとほと疲れて、なのに二人目まで出来て。
どうしょうもなく困ってしょうがなく堕胎してもらおうと此処にきて、それなのにあいにくの休業日で。


すべてが嫌になったノイローゼの彼女は思わず、手に持った荷物をおろしてしまったんだよ。

そして明日は何食わぬ顔をして、腹に抱えた荷物も“おろし”にくる。



おぞましい推理かい?

だけど人間というものはそんなものだと私は思うよ。

一度嫌になったら何もかも放り出したくなる。
“坊主憎けりゃ袈裟まで憎い”ってやつでさ。
結果、ゴミの日じゃなくてもそこにゴミを捨ててしまうんだ。

……。
はっはっは、あわてて確認しにいっちゃったね。デイはかわいいなぁ。



おや戻ってきた。

全然ちがった?
「がたん」は彼女が転んだ音で、そもそも道に迷ってこのビルに入り込んだだけの無関係な人だったって?
ふふ、それは残念――たのむから怒らないでくれよ。当たるも八卦、当たらぬも八卦さ。


君、占いというものはこんな風に、机上の空論で現実の人を動かす、架空のエネルギーのことを指すんじゃないか。


まぁ何もなかったのなら万々歳だ。そこの椅子にかけなよ。

……?あれ?なんだかひどく濡れてるね。
ずぶ濡れじゃないか。
さっきまで晴れていたのに、にわか雨にでも降られたのかい?


-3-



…ところでね、デイ。

わたしは偶に、数年来の友人である君について、占ってみることがあるんだよ。

だけどいつもタロットが導き出す結果は“死神”なんだ。


私にだけは嘘をつかないで欲しい。君は、本当は――


人殺しの化け物なのじゃないかい。



…。

……。


「そうね、たしかに私は毎月何人もの胎児を殺しているわ」だって?

…。……ふ、ふふ…は、ははははははっ!!

ず、ズルいよ!その答えは、くふ、ふふふっ…。

そうじゃなくてさ、わたしが聞きたいのはさ……。


なんだ、もう帰るのかい。
まぁいいさ。
また気が向いたらここにおいで。お互い死ぬまでの暇つぶしだ。楽しく楽しく話をしよう。


占いの報酬はいつもの化粧水でいいよ。
1Fの若い花屋さんや、2Fのバーのマスターと同じように、私もあの、
肌に深く染みこむような、魂を磨かれる気がするような、甘くて少し死の味がする、魔性の水のファンなんだ…。


それじゃ、デイ。罪深い君にも、運命の女神のご加護がありますように。




-4-


(まったく、よく喋る友人だわ…。
あれじゃ威厳もなにもあったものじゃない。占い師としては失格じゃないかしら)


軽薄な、占い師失格の友人。
無責任な、母親失格の彼女。
嘘つきな、人間失格のこの私。

私達はお互いに、誰かを責める資格なんて、これっぽちも持ち合わせていないのだけど…。



デイは、苦笑し、医院の玄関脇のポストを開ける。

とたんに響く無垢な歌声。


おぎゃあ。おぎゃあ。おぎゃあ――


…さて、この“忘れ物”、一体どうしよう?


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