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『ローマの休日』

白黒時代の映画でありながらまさに不朽の名作という感じ。面白かった! 

イタリアの王女様が窮屈な宮殿暮らしを抜け出して、たまたま出会った新聞記者の主人公と
ほんの数日間のお忍びデートを楽しむ話。
とにかくオードリー・ヘップバーンが可愛すぎる。たまらん。

序盤、数十人の要人と謁見し続ける退屈な公務のシーンで、スカートの中でこっそりハイヒールを脱いで
足をもぞもぞさせる描写があるが、それだけで彼女の表と裏の顔が表現できていて凄い。
そりゃ王女様だって窮屈だよなー、ストレッチしたいよなー、とw

はじめて主人公と会った場面の、鎮静剤でふにゃふにゃ酔った状態の彼女も凄く可愛いし、
いちばん有名な「真実の口」の場面のはしゃぎ様も、観ていて非常に微笑ましい。笑顔になってしまう。


船の上のパーティ会場で王宮の護衛に追われた時の、ギターで敵の頭をばこーんと叩く場面は、
今畝監督の『パプリカ』でパロディとして使われてたなぁ、とか。

ラスト付近で主人公の職業(新聞記者)がバレた時や、相棒の男がライター型写真機を見せる場面は、
王女はもっと怒っても良いんじゃないかなぁ、ショックじゃないのかなぁ、とか。

色々思いながら観てた。全体的に視聴感が軽くてオシャレ。とても楽しめた。
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[ 2019/08/01 08:23 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『ズートピア』

面白かった! 人間社会のデリケートな問題を非人間(動物etc)に仮託して語る手法は
ハリウッドの定番だけど、それを非常にうまくやってのけた作品。

「草食動物と肉食動物」が共に暮らす街“ズートピア”を舞台に、
ウサギ種で初めての婦人警官になった主人公が、とある誘拐事件にかかわる話。

主人公が夢と希望に満ち溢れたキャラクターであるのに対し、
相棒のキツネ種のキャラクターが良い感じに“草臥れた大人”で恰好良い。

よれよれのシャツを着こなす脱力したスタイル、世間の偏見と闘おうとしないスタンス、
強きを避けて弱きを騙す典型的な詐欺師。
しかし、プライドも、過去も、傷つく心もまだちゃんと持っている……。

実に良いコンビ描写だった。
自分もこれをモノにして、昇華して変奏してみたい。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/08/01 08:22 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

渡辺淳一『鈍感力』

昔のベストセラーをいまさら読んでみたシリーズ。

作者は整形外科医かつ小説家・エッセイストとしてもヒットを連発した偉い先生。
映画にもなった『失楽園』という不倫文学は大ブームになり巷を騒がせた。

楽音寺は当時中学生だったけどちゃんと記憶にありますね。
作者自身のスキャンダルも何かと話題になってたし……w


で、本の感想。

「作者の人格がイヤ」。すっごく身も蓋もない言い方だけどそれに尽きる。


内容としては「繊細でナイーブな奴は生き残れない。鈍感力を身に着けろ!」という話なのだが、
作者の論調が説教好きの上司そのもの。

会社で働くサラリーマンには「ストレスに負けるな」とか「鬱になるな」、
恋愛中の男女には「相手の短所に目をつぶれ」とか「別れるな」。

作者自身が身も蓋もなく「それが出来たら苦労しないよ」という指示をしてくる本なのである。

なんかこう……全打席“ホームラン”のサインを出してくる野球の監督、みたいな……。
それが出来たら苦労しないよ!w



昔の人だからしょうがないけど、言い回しや論調が古く、現代のSNSで呟いたら炎上しそうな
ことをバンバン主張してくる所もイヤ。

育児をしている主婦や出産を例に出して「女は痛みに強い=鈍感」とか、
「育児中は恥じらいもなく胸を出して授乳する=鈍感」とか「汚いおむつを替えられる=鈍感」とか。

(あーこの人、育児にまったく関わらない昭和の父親像そのものだなー)
(渡辺淳一、赤ん坊のおむつ替えたことねぇんだろうなー)

と容易に想像させられ、読み進めるたびにゲンナリしてしまったw



全体的に物凄く安易な「女性は強い」「男はダメ」「若者いいこ」「我々オジサンは頭が固い」みたいな
読者に迎合した文章で書いているんだけど、いちいち作者本人の旧態依然とした感覚が見え隠れして、
まっっっっっっっっっっっっったく好きになれなかった。


まぁ、だから、つまり……「作者の人格がイヤ」ということです。はい。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/07/15 19:35 ] 紹介・レビュー 読書 | TB(0) | CM(0)

『ブレイド』1~3

人間とバンパイアの血を受け継ぐダークヒーロー“ブレイド”の活躍を描いたアクション。

見どころ
人間とヴァンパイアの血を受け継ぐスーパーヒーロー“ブレイド”の活躍を描いた、ウェズリー・スナイプス主演の
VFXアクションの第1弾!

ストーリー
人間とバンパイアとの間に生まれた混血で、バンパイアを抹殺するために闘うバンパイア・ハンター、ブレイド。
彼は母親を死に追いやったバンパイア、フロストを追い、彼らのアジトに潜入するが…!?

1998年制作のアメリカ映画。 寡黙な黒人がカンフーと刀剣アクションで吸血鬼と戦う。
主演のウェズリー・スナイプスという役者さんがアジア系格闘技の経験者で、とても華麗な動きをする。
寡黙ながら非常に心優しく繊細な性格、というキャラクター性と相俟って、ぐいぐい惹き込まれた。

しかし2作目、3作目と続くにつれてイマイチに。
監督が変わったのもあるけど、敵も仲間もどんどん刷新されて安易なインフレが発生し、
初期の頃の主人公VS吸血鬼という構図がブレてしまった。テーマも分かりづらくなっていく。

続編の定めか。もったいないなぁ……。

こういう事態を避ける手立てが何か無い物だろうか。例えば『ジョジョ』は似た道を歩んでいた割に
(1部のボスが吸血鬼、2部がそれを上回る怪物、3部では新たな能力+仲間……)
作品の完成度はブレていなかったと思う。どのあたりが読み味に影響を及ぼしているんだろう? にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/04/23 19:32 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『ヒステリア』

2011年、イギリス・フランス・ドイツ・ルクセンブルク合作。
快感は世界を救う?女性用アダルトグッズの知られざる誕生秘話!

見どころ
電動バイブレーターの誕生にまつわる赤面エピソードが軽快かつ爽やかに語られる仰天実話。
刺激的なテーマながら、俳優陣はイギリスの実力派俳優が名を連ねた豪華な顔触れ。

ストーリー
1890年、英国ヴィクトリア王朝の最盛期。巷ではヒステリーと呼ばれる女性特有の病気が蔓延していた。
そんな悩める女性たちのために、婦人科の権威・ダリンプル医師は画期的なマッサージ療法を考案。
多くの女性が診療所の前に列を作るようになるのだが…。

かつてヒステリーが「子宮に由来する女性特有の神経症」だと思われていた時代。
すべての女性は淑女たるべしという社会的な風潮や、女性から誘惑してはいけないというキリスト教の教義により、
多種多様な欲求不満を抱く女性たちが列をなす婦人科医院でのお話。

主人公の若き医者は、日々その患者たちに“治療”(手指を用いた刺激)を施す内に腱鞘炎になってしまうw

その対策として、スポンサーである発明家の友人と協力して世界初の電動マッサージ機を開発。
健康器具として売り出すことで一世を風靡し、富と名声を得る。

医院の院長の娘姉妹(ダブルヒロイン!)との恋愛も発展し、後継ぎにも選ばれ、順風満帆に思われたが、
慈善事業と女権獲得に熱心な活動家である姉の方が、横暴な警官を殴り倒して裁判にかけられてしまう。

彼女の主張のすべてが“ヒステリーという精神病”として捉えられ、嘲笑され、罵倒され、
「精神病院への収容および子宮の摘出」という圧倒的に理不尽な判決が下されかけたその時、
主人公が彼女を救うべく法廷で演説をはじめる……!

というのが、おおまかなあらすじ。

思ってたより100倍 真面目で歴史ロマン溢れる内容にびっくり。すごく面白かった!
デリケートな内容を、面白可笑しく、しかし洗練された上品さで物語るストーリー展開には脱帽。

歴史上のアダルトグッズが紹介されるスタッフロールも斬新で笑えます。
こんな分野にも日立製作所が……!w

視聴してみようと思った方は是非、Wikipediaのヒステリーの項目とあわせてお楽しみください。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/02/21 12:24 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』

1997年、ドイツ
「天国じゃ、みんな海の話をするんだぜ」余命少ないふたりが海を目指すロードムービー

見どころ
死を前に怖いもの知らずの男ふたりが繰り広げるユーモラスな犯罪道中、切ない友情、沁みる音楽、
どこをとっても魅力あふれる。多くの人が心に大切にしまっている一本。

ストーリー
余命わずかと宣告され、たまたま同室に入院させられたマーチンとルディ。ふたりは死ぬ前に海を見ようと病棟を抜け、
ベンツを盗んで人生最後の冒険に旅立つ。ところがその車はギャングのもので大金が積まれ、
ふたりはギャングと警察から追われるはめに…。

ここがポイント!
ボブ・ディランの名曲「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」をエンドロールでカバーしているのは、
ドイツのバンド「SELIG(ゼーリッヒ)」。

面白かったー! 実に良い作品を観たー!
アメリカン・ニュー・シネマでお馴染みのベタな筋書きとドイツ映画らしい陰影の濃さがある一方で、
主演二人のノー天気な生命力溢れる生き方が凄まじい痛快クライム・ロードムービー。

暴走する馬鹿達の派手なアクションの満足感と、しっとりしたラストの読後感、重さと軽さのバランスが素晴らしい。
短編なのに非常に密度が濃く、シンプルな物語なのに二転三転し、全力で生きている感覚が味わえる。

トーマス・ヤーン監督の別作品『アドレナリンEX』は前のめりな勢いがあるだけの駄目映画だったが(※個人の感想です)、
今作ではその作風がすべてと噛み合って良い結果を齎している。
脚本との相性って大事なんだなーと思った。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/02/21 11:57 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『バトルランナー』

1987年、アメリカ。
視聴者が望む映像は“殺人”。シュワちゃん渾身の演技にしびれる近未来アクション

見どころ
アーノルド・シュワルツェネッガーが次々と襲ってくる敵と手に汗握るバトルを展開。
マスコミの餌食となる男たちの姿が、2017年という時代設定と共に妙にリアルに迫る。

ストーリー
独裁体制の敷かれる21世紀のアメリカ。警察官・ベンは上司の命令に背いたことから殺人の罪を着せられ投獄されるが、
仲間と共に脱獄を図る。その頃、殺人ショー“ランニングマン”を放映するICSネットワークでは、番組の目玉となる
“獲物”を探していた。

原作はスティーブン・キング。

感想。テンポがいい普通の娯楽作。難しい部分が皆無ですっきりしてて観易い。オチも単純明快。
「過激な娯楽で不満から目を背けさせ、大衆を扇動&洗脳するメディア」というメインテーマは現在にも通ずる。
というか「パンとサーカス」の時代から変わってない。闘技場の発想。

シュワちゃんのキャラ付けは如何にもアメリカ映画の英雄という感じで楽しかった。機知に富むマッチョ。
いまの世の中でやったら若干鼻につきそうな皮肉とドヤ顔も、この時代のムービースターには似合ってて良い。

監督はちょっと癖がある撮り方をする人だと思う。ダンスシーンが長かったり、
主人公が投獄される発端となる捏造ビデオを3回くらい流したり。分かりやすいけどちょっとくどい。
まぁでも、こういう作品は分かりやすさが正義みたいな所があるからね。

余談だが、楽音寺は開始15分くらいまで暫く『ブレードランナー』と勘違いして観ていた……w
「あれー?有名な変な日本語のシーンが無いぞー」と頭上に?マークを浮かべながら……阿保だ……w にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/02/18 22:52 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

三池崇史の実写映画版『殺し屋1』

究極のサド怪物とマゾ怪物が歌舞伎町で殺し合う!という悪趣味で暴力的でグロテクスなヤクザ映画。
登場人物がイカれてる奴らばかりでなかなか面白い。

本作はマニアックな内容にもかかわらず妙に広範囲でメディア展開されていて、
楽音寺は原作漫画、外伝その1、その2、OVA、そしてこの実写映画を視聴した。

映画版はかなり改変されていてそこがちょっと不満。

浅野忠信が演じるピアスだらけの口裂けヤクザ“垣原”は、原作だとダークスーツに身を包む黒髪ヒゲ男なのに
金髪ホスト風の軽い容貌で、服もチャラチャラした感じになっている。変態っぽさは薄味。
ただ、それでも意外と違和感がなかった。独特の脱力した演技が良かった。

大森南朋が演じるいじめられっこの殺人鬼“イチ”は、原作だともう少しスポーツマン風で、気弱だけど爽やかな青年。
映画では太眉毛のもっさりした根暗キャラっぽい感じになっている。でも怪物っぽさは健在。
この役者さん、色んな所で多彩な演技をしていて凄い。『LENS』の駒形のイメージがあったから今作でびっくり。

後半に登場する凶暴な双子ヤクザは、原作だと容姿も違えば武器も違う、互いに競い合うライバルだったのに対し、
映画では松尾スズキが一人二役したそっくりさん。職業も悪徳刑事になっているという謎っぷり。


原作は突飛で異常な描写は多かったがそれをリアルな筆致で描いて重たい現実感を演出していたのに対し、
映画は血しぶきブシャーみたいな場面を過剰にコミカルに描いて非現実感を演出している印象だった。

そもそも三池崇史の実写化映画は良くも悪くも大体そんな感じなので、もはや好みの問題だろう。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/02/12 09:24 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『V/H/S ネクストレベル』

2013年、アメリカ
ファウンド・フッテージ・ホラー『V/H/Sシンドローム』の続編

見どころ
前作から大幅に監督陣は変わり、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のエドゥアルド・サンチェスなど7人が感性を競う。
バラエティに富んだPOV系ホラーを楽しめる。

ストーリー
失踪した青年の捜索依頼を受けた探偵は、青年が滞在していた家に忍び込み、大量のビデオテープと血痕を発見する
(「TAPE49」)。ヘルマンは事故で左目を失い、視覚野に人工器官を取り付ける手術をするが…
(「PHASE I CLINICAL TRIALS」)ほか。

あの『V/H/Sシンドローム』が大幅にレベルダウンして帰ってきた!主観視点オムニバス・ホラー第二弾。

エピソード数は減り、各話を繋ぐメインストーリーはより意味不明に、より安っぽく、より怖くなく、
なんかもうしょーもない感じになってて脱力感を覚えた。一応設定が面白いものはあったものの全体的にイマイチ。
このジャンル自体は好きなので何とか観れたがネクストレベルでレベルダウンしてどうする。


1話目は「撮影機能つきの人工眼球を植え付けた男」視点の話。
手術後になぜか幽霊が見えるようになった理由は説明されない。幽霊は3人くらいでデザインは凡庸。
白目・青肌・血塗れの少女と青年と裸オヤジが佇むだけで実害はなさそう。目を抉り出すオチも想定内。

2話目は「ゾンビに襲われて自らもゾンビになった男」視点の話。
爽やかなキャンプ場で視点人物が敵に噛まれて、逃げつつ徐々にゾンビ化。次第に様子がおかしくなり人を襲い出す。
これはちょっと面白かった。FPSっぽい。仲間ゾンビが増えたり、誕生パーティをしてる家族に乱入したり、
銃をもった市民や暴走車と戦う感じがグッド。わずかに残った人間性から自殺するオチも良し。

3話目は「アジア風の異端宗教に潜入するカメラマン」視点の話。
尺が無駄にクソ長い、映像がチープ、現実感のないCG多様でジャンルが行方不明、と良い所がない。
いや、男信者たちの銃撃戦と女信者の不気味さはまぁ良かったかな。
あと小柄で髪型七三の中国人風の導師がパンツ一丁で爆発四散するシーンで少し笑った。

4話目は「宇宙人に襲われた子沢山家族と犬」視点の話。
前半、子供たちが繰り広げる度を越したイタズラに引く。お互いのシモネタを録画してネットに流すとか超やだこの家族。
宇宙人が登場してからは映像がノイズまみれ、常にフラッシュ&絶叫、カメラぶれぶれでまともに視聴できない。
全身肌色タイツのグレイもどきの粗を誤魔化すためであろうか。もう本末転倒だと思った。
せっかくの犬視点もまったく活かしきれていない。ヤマなしオチなし意味なし。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/02/12 07:25 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『ヒトラー ~最期の12日間~』

2004年、ドイツ、オーストリア、イタリア製作。
ナチス・ドイツ総統ヒトラーの最期の12日間を、個人秘書の目を通して描く実録ドラマ

見どころ
独裁者の知られざる側面を、歴史家ヨアヒム・フェストの研究書とヒトラーの個人秘書ユンゲの回顧録を基に映画化。
ヒトラーに扮したブルーノ・ガンツの狂気の演技は圧巻だ。

ストーリー
1945年4月20日、ベルリン。第二次大戦は佳境を迎え、迫りくるソ連軍の砲火を避けるためヒトラーは
身内や側近とともに首相官邸の地下要塞に潜っていた。誰もが敗戦を覚悟する中、
冷静さを失い狂人と化していたヒトラーは、ある重大な決断を下すが…。

ここがポイント!
アカデミー外国語映画賞ノミネート。ヒトラーが激昂するシーンのパロディ動画も話題に。

うーん。「出来は宜しいが自分は楽しめなかった」という、なんとも評価に困る作品。
視聴は2回目で、最初は劇場で、今回は配信サイト。

たぶん歴史的にも忠実だし、題材は挑戦的だし、劇中の出来事も凄惨で衝撃的だし、
ヒトラーの描き方についてもステレオタイプからの脱却を図っている感じなのだろうけど、
なぜか……なんとなく楽しめなかった。

まだ深く考察できるだけの材料が自分の中に無かったのかな。
どの悲劇にも「まぁそりゃそうなるよ」という冷めた感想しか抱けなかったし、登場人物の個性もよく分からん。
(ヒトラーと子役たちは名演だったけど、側近ズがいまいち無個性)


今まさに苛烈に砲撃されている首都の地下室で、部下からの被害報告を聞きながら、ヒトラーが
「ああそうか、では次の戦争では××しなければな……」という感じでぶつぶつ呟く描写は好きだった。

そんな場合か!?と観客にツッコませるための狂人演出なのだろうけど、むしろ総統としての視野の広さとか、
常人とは違う“神の視座”にいる大局観をしめす雰囲気があって面白い。

ちゃんと勝利につながっていれば福本漫画の主人公みたいで(『アカギ』とかw)恰好よかったかも……w にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/02/05 17:16 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『羅生門』

1950年
芥川龍之介の「薮の中」を映画化。「世界の黒澤明」として名をとどろかせた傑作

見どころ
三船敏郎をはじめ、森雅之、京マチ子、志村喬、千秋実ら実力派スターが集結。
人間のエゴと欺瞞をあぶりだしながら、見事なエンターテイメントに仕上げている。

ストーリー
平安時代。激しい雨が降る羅生門の廃墟で旅法師と杣売りが首を傾げていた。そこへ走り込んで来た下人の問いに
2人は不思議な話を語り始める。盗賊・多襄丸が森の中で武士の夫婦を襲い夫を殺したというが、
検非違使庁での3人の証言は全く異なっていて…。

藪の中で行われた盗賊と武士夫婦の暴行および殺害事件の真相を、多数の矛盾する証言からなんとか解明しようとする話。
この「時代劇+法廷物」というジャンルはなかなか面白い。“御白州もの”って奴ですか。

当事者たちがそれぞれ自分に都合よく話を盛るからつじつまが合わなくなっている、というだけのギミックなので
前評判より複雑な話ではない気がした。
謎はほとんど作品内で解決している印象。最後に種明かしもしてくれるしね。

原作(『藪の中』の方)はもっと難解らしいので、映画版はエンタメに寄せているのかな。

ただ「巫女の口寄せによって召喚された被害者の霊」とやらが証言するのがミステリ的には変化球過ぎてビックリしたw
しかもそいつも見栄張ってウソついてるという……なんとも俗っぽい霊だなぁw

まぁ、異常な動機とか、複雑怪奇な不可能状況がある厳密なミステリーでは無かったけれど、
三船敏郎の豪胆な演技、京マチ子の狂女っぷり、志村喬の迫真の“小市民”感が楽しめる人間ドラマとしては
紛う事なき一級品。さすがのクロサワ映画でした。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/02/05 11:09 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『きっと、うまくいく』

2009年、インド
エリート大学を舞台に、親友3人が繰り広げる珍騒動を描いた感動ムービー

見どころ
ボリウッドの大スター、アーミル・カーン主演。難関大学に通う3バカトリオが巻き起こす騒動と、行方不明になった
ひとりを捜す10年後の彼らの姿を同時進行で描く。

ストーリー
インドの超難関理系大学・ICEに入学したランチョー、ファラン、ラージューの3人は、バカ騒ぎを繰り返し
鬼学長を激怒させていた。彼らが卒業してから10年後、ランチョーが行方不明となり、ファランとラージューは
彼を捜す旅に出るのだが…。

ぬわーーーー!超超超超おもしろかったーーーー!
俺的映画ベスト10をぶっちぎりで更新したね!これは気持ちいい!

「カーストを打ち破るためにはITや工学などの最新分野で成功するしかない」という
インドの厳しい社会情勢を描きつつも、その息苦しさと戦う破天荒な天才学生“ランチョー”を中心に、

笑いあり涙あり恋愛あり友情あり懐古趣味あり決闘あり復讐あり感動あり哲学ありインド舞踏あり!と
あらゆる要素がアリアリで盛り盛りな贅沢すぎる半ミュージカル映画。すーばらしーい!

『スタンド・バイ・ミー』的な三人の男達の友情、ノスタルジックな雰囲気、リズミカルなストーリー展開、
陽気で突飛で猥雑な香りただよう異国情緒、そして伏線に伏線を重ねておいて見事に回収する脚本の妙!
あーもーどれをとっても一流で、冷静なレビューができーーーん!w

個性豊かで刺激的でスパイシーな味わいを持つ映画なので賛否両論ありそうだけど、
楽音寺はみごとにハマってしまいました。

再生時間が170分と長い割にまったく集中が途切れずノンストレスで観れる(と思う)ので、皆さんも是非! にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/02/03 22:58 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『グエムル 漢江の怪物』

2006年、韓国
韓国・ソウルに怪物が出現!ポン・ジュノ監督が手掛けたモンスターパニックムービー

見どころ
“韓国のスピルバーグ”と称されるポン・ジュノ監督が斬新な映像と演出手腕で見せる怪物映画の新機軸。
ソン・ガンホ、ペ・ドゥナら実力派俳優が怪物と戦う家族を熱演する。

ストーリー
ソウルの中心を南北に分けて流れる雄大な河・漢江。休日を河岸で過ごす人々が集まっていたある日、
突然正体不明の巨大怪物が現れた。次々と人々が襲われる中、河川敷の売店で店番をしていたカンドゥの愛娘・
ヒョンソが怪物にさらわれてしまう。

なかなかインパクトのある韓国のモンスター映画。意外と面白かった。
予算も映像技術も高水準なのに、全体的に雑で、ガバガバ設定を大真面目にやってる感じが好印象。
チャウ・シンチー作品みたいな味わいがあるねw

すごく出来が良いCG怪物(ハリウッド外注)が、割と序盤から白昼堂々と全体像を露わにして
群衆を襲いまくるシーンが何気に新しい。出し惜しみしてない。


キャラクターも濃い。退場の仕方が格好良い親父、東大卒フリーターな弟、アーチェリーで戦う女、
そして幼少期の栄養不足によりちょっと頭が弱い代わりに何故か状態異常にならない主人公!w

全員にわかりやすく駄目な部分があり、劇中で他の映画では見られないような大ポカをやらかしつつも
互いにフォローしあって戦っているのが、かなり斬新で面白い。

「あと一発弾が残ってる」と渡した銃が実際には空っぽだったり、怪物へのトドメとなる火炎瓶を落としちゃったり、
不自然極まるキャラ付けのための弓での攻撃(演出つき)がとことんハズレまくったり……。
えー、こんな映画アリなのー、って笑わされましたw

アジア的大らかさ、天然っぽい笑いのセンス、テンポよく出し惜しみしないストーリー展開。
どれをとっても気軽に楽しめる、良い意味でチープな味のある映画でした。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/31 19:16 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『レザボア・ドッグス』

1991年、アメリカ
タランティーノの監督デビュー作。宝石強盗団の確執を描いたバイオレンスアクション

見どころ
その後のタランティーノの鬼才ぶりを匂わせる怪作。スタイリッシュにして残虐、
さらにノスタルジックな色合いを醸した演出で、まさに絵に描いたような犯罪ムービーだ。

ストーリー
犯罪のプロ、ジョー・カボットは大掛かりな宝石強盗を計画し、仲間を集める。
しかし、襲撃現場には警官が待ち伏せていて失敗に終わった。重傷を負いながら集合場所に集まってきた男たちは、
仲間内に裏切り者がいると疑心暗鬼になり、探りあいが始まる。

なんだろう、面白さがよく分からなかった。
ある登場人物2人が(潜入捜査官と宝石強盗でありながら)強く心を通わせて庇いあい、結果として皆死ぬ、
みたいな話なんだけど、そこに至るまでの感情的交流ってそんなにあったっけ……?

死線を潜り抜けた故に、ってことなんだろうけど時間にしたら30分も無いくらいの短い交流だし、
昔からの仕事仲間たちに銃を構えて対立するほど互いに執着するのがよく分からない。
タランティーノいわくそれは“JINGI”によるものだという事だが……ううむ……?w

町山智浩さんの解説によれば、タランティーノが自分の好きな映画ネタをパクってぶち込んだ映画らしいので、
換骨奪胎というか羊頭狗肉感は否めなくても致し方無し、なのだろう。
タランティーノらしい演出やセンスは十分に楽しめた。あと役者が豪華。監督本人も演者になってます。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/31 15:47 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『ミセス・ダウト』

1993年、アメリカ
子供に会うため家政婦に変装し、元妻の家庭に潜入する父親のドタバタを描いたコメディ

見どころ
家政婦に変装した主人公。慣れない家事に奮闘する姿や、普段の姿と変装時のギャップが笑いを誘う。
アカデミー賞を受賞したメイクアップによる変身ぶりは見もの。

ストーリー
売れない役者・ダニエルは、子供と一緒に遊んでばかりの夫にうんざりした妻・ミランダに離婚を告げられる。
子煩悩なダニエルは子供たちに会いたいがために、特殊メイクアップを駆使して老婦人に変装し、家政婦として
ミランダの家に潜り込む。

ここがポイント!
監督は「ホーム・アローン」シリーズのクリス・コロンバス。主演はロビン・ウィリアムズが務める。
1993年アカデミー賞アカデミーメイクアップ賞を受賞。

面白かった! さすが感動コメディの名作、安心して観れる面白さでした。
好転にしろ悪化にしろ、物事がぐいぐい動いていく話って好き。成長していく様が気持ちいい。
小難しいストーリー理論よりこういうプリミティブな快感のほうが観客をダイレクトに揺さぶってくれるものだねぇ。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/29 11:31 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『ドニー・ダーコ』

2001年、アメリカ
世界の終焉!?サンダンス映画祭で絶賛された青春不条理ムービー

見どころ
ジェイク・ギレンホールが闇を抱える青年を怪演。時間軸をさかのぼっていく異色の演出に病みつきになるファンが急増した。
衝撃の結末を知った後に、再鑑賞したくなる。

ストーリー
ドニー・ダーコは夢の中で銀色のウサギと出会い、「世界の終わりまであと28日と6時間と42分12秒」と告げられた。
家に帰ると、空から飛行機のエンジンが落ちてきて、ドニーの部屋の天井に穴を空けている。
そして、ドニーの日常が徐々に狂い始める。

いまいち。不条理映画を造ろうとして造られた不条理映画という感じ。

冒頭で、アメリカの街中に飛行機のエンジンが落ちてきて、主人公の部屋が破壊される。(主人公は外出してて無事)
それから「精神病を患っている青年の鬱々しい青春の光と影」みたいな日常描写をベースに時々 妄想シーンが入る。

謎の銀色の仮面をかぶった兎(着ぐるみ)に指示されて夢遊病のように犯罪を犯す主人公。
学校の水道管を破壊して休校にしたり、学芸会をやっている最中の公演ホールに火を放ったりする。

そうした夢中の謎ウサギの指示によって運命が少しずつ変わり、結果的に恋人が交通事故で死ぬ。

絶望した主人公が空を見上げると謎の竜巻が起きていて、母の乗った飛行機がその側を飛んでいる。

主人公が謎の超能力によって飛行機のエンジンをもぎとって謎の竜巻(タイムトンネル?)に落とす。
その後に自らも過去に戻る(どうやったかは忘れました)。

冒頭と似たシーン。アメリカの街中に飛行機のエンジンが落ちてくる。主人公は今度は外出しない。
彼は自分が死ぬ運命を受け入れることによって恋人の死を回避したのだった……。


という内容。
タイムトラベルとか謎の人物とか超能力が唐突に話に絡んでくるため非常に戸惑う。ヘンな話。
視聴中、どーしても没頭できずに4~5回眠ってしまった。(よって↑のあらすじはかなりうろ覚えです)

あまりにもよく分からないからネットで調べてみた。

どうも本作はタイムトラベルをテーマにしたループ物で、原作者独自の宇宙論に基づいて構成されてるらしい。

登場人物たちは運命を変えるために超能力を得た者たちで、前の世界を薄っすらと覚えている状態で過去に戻り、
時には自分の運命を変え、時には他人の運命変転の手伝いをして(銀色ウサギの正体)……で、なんかこう……
いい感じのハッピーエンドを目指しているとか何とか……らしい。

それを作中でまったく伝えないままドラッグムービーめいた不条理映画に仕上げているため難解になっているらしい……。

……ええー。
なんだかなぁ。作者オリジナルの厨二病設定がメイントリックじゃあ考察し甲斐がなくて困るなぁ。

まぁ、こっちの方がまだエンタメとしては観易いが、デヴィット・リンチの方が本物の変態なので
「不条理映画」を観たい人はそっちを観た方が良いんじゃないでしょうか。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/26 23:02 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『帰ってきたヒトラー』

2015年、ドイツ
現代にタイムスリップしたヒトラーが人気芸人になる姿を描いたコメディ

見どころ
現代社会に警鐘を鳴らした世界的ベストセラー小説を実写映画化。21世紀の民衆が、ヒトラーの情熱によって
知らず知らずのうちに扇動されていくさまに注目。

ストーリー
ある日、ヒトラーにそっくりの男がとあるディレクターによって見出され、TV出演させられることに。男は長い沈黙の後、
自信に満ちた過激な演説を繰り出し視聴者の度肝を抜く。その演説は、かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸と
人々に認識され…。

うおぉー!面白かった!すごいなコレ。

非現実な設定でありながら現実的なドキュメンタリー手法を取り入れた映画。
時々実際のニュース映像が挿入されたり、スマホで撮影したような手ブレ映像で役者(ヒトラー)が市民と会話したりする。

ドイツ人にとってはかなり禁忌の人物であろう総統閣下の恰好で、実在するレストランや政治施設に突入したり、
実在する政治家と議論をする様が実に生々しくて、体の奥から変な笑いが込み上げてくるのである。おもしろい!

(なお、総統の姿でドイツの街を歩くにあたって役者は常にボディガードをつけて撮影に臨んだらしいが、
意外とドイツ市民の多くは好意的で、SNS等に乗せる写真を2万5000回にわたって要求されたとのことw)


役者さんのレベルが高く、実際にヒトラーが言いそうな言葉で論敵をばっさばっさと切り倒していく所は痛快。
歴史をなぞるように再び移民問題で揺れている現在の欧州だからこそ曰くつきの彼の言葉がより深く刺さるのだろう。

映画としても高品質で、個性豊かなTV局員達が総統を中心とした熱狂の渦にぐいぐいと巻き込まれていく様が
人間ドラマになっていて楽しい。『ヒトラー 〜最期の12日間〜』のパロディ場面にも笑わされた。
ラストの展開がちょっと残念かな。メインキャラがひとり精神病院に入るんだけど、みんな幸せになって欲しかった。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/26 21:56 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『キャビン』

2011年、アメリカ
ホラー映画ファン必見!名作ホラーのオマージュを散りばめた、新感覚SFホラー!

見どころ
「オデッセイ」の脚本を手掛けたドリュー・ゴダード監督、「アベンジャーズ」の監督を務めたジョス・ウェドン製作の
強力タッグ。怪物や小道具など、膨大な元ネタも話題に。

ストーリー
女子大生のデイナたち5人は、夏休みに山奥の古ぼけた別荘を訪れるが、地下室で謎の日記を見つけたことから仲間が
次々と殺されていく。ところが、この一連の出来事の裏には、彼らがシナリオ通りに死んでいくようコントロールする
謎の組織の存在があった。

ここがポイント!
字幕監修は「テッド」「キック・アス ジャスティス・フォーエバー」を手掛けた町山智浩。

んー……55点くらいの微妙さ。ホラーと思いきや温いコメディだった。

若き男女が田舎にバカンスに出かけ、湖で泳いだり王様ゲームをして遊んだりするうちに謎の地下室を発見。
そこにある数々の怪しげなアイテム(オルゴール、パズル箱、法螺貝、古ぼけた日記etc)のひとつを紐解いた結果、
ゾンビ殺人鬼の家族を召喚してしまう。

そこに時々、その様子を監視している科学者たちのシーンが挿入される。

彼らは巨大モニタに映る登場人物たちがどのアイテムを手に取るか賭けをしていて、
「あー、日記かぁ」「ってことは今回の怪物はゾンビ一家だな」「法螺貝なら半魚人だったのになぁ」
などと談笑しながら、機器を操作して怪物の侵攻を助けたり、登場人物たちの判断力を(謎のガスで)奪ったりする。

『SAW』とか『キューブ』みたいにプレイヤーとゲームマスターに分かれている類のホラー映画だが、
マスター側が集団の組織で、しかも悪意なく明るい雰囲気で監視・操作しているあたりが斬新。

監視者たちの目的は「地球を支配している旧神に生贄を捧げ、終末を防ぐこと」。具体的には
5人の男女を狩場に引き入れて怪物を召喚させ「淫乱」「戦士」「学者」「愚者」「処女」の順で殺すことだと言う。

(これはホラー映画における死亡率ネタだろう。
まずリア充カップル(ジョックとクイーン・ビー)が死んで、次に真面目とオタクが死んで……みたいなやつw)

で、主人公たちはそれに抗うことを選択。
監視者たちの施設に侵入して数多の怪物を開放、大混乱を引き起こした挙句に、生贄になることを拒否して
旧神が復活するのを看過しながらエンディングを迎えるのだった……。


という話。

巷のホラー映画のあるあるネタを詰め込んでメタ的な物語にしたものだけど、楽音寺はそんなに面白いと思わなかった。
ホラーとしてもコメディとしても中途半端だしラストは唐突に壮大になって萎えるしで、没頭できない。
やっぱり純粋に怖い話が見たいなぁ。

日本ネタが豊富に出てくる点と、モンスターの造形は良い。それ以外は特筆すべき事のない一作。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/23 15:10 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『DARK STAR/H・R・ギーガーの世界』

2014年 スイス
「エイリアン」造形の生みの親、H・R・ギーガーの生涯に迫るドキュメンタリー

見どころ
外の世界とは切り離された宇宙のようなアトリエに暮らし、人々の恐怖やトラウマを具現化するH・R・ギーガー。
不気味だが美しい世界観に引き付けられる。

ストーリー
「エイリアン」で1980年のアカデミー賞視覚効果賞を受賞したH・R・ギーガーは、以来世界中のファンを魅了してきた。
多くのアーティストたちにも影響を与えてきた彼の制作の背景が、本人だけでなく、多くの関係者やスタッフたちによって
語られる。

ここがポイント!
H・R・ギーガーは本作撮影後間もなく、2014年5月12日に死去。

またまたU-NEXTの31日無料期間が来たのでさっそく登録して視聴。
地味で静謐でひじょーに眠たくなる造りのドキュメンタリー映画。4~5回うとうとしてしまった。

ギーガー本人の外見や雰囲気はなかなか独特で興味深いんだけど周囲の人間のインタビューがいらなかった。
精神科医だのマネージャーだの妻だの、作品世界の解説を本人以外がするのって何だか嘘くさくって嫌。

浴槽に本が積み上げられていたとか、家に動物の骨が安置されてたとか、家中のカーテンを閉め切ってたとか、
マスコミ向けに誇張された風なエピソードも多いし……。

飼い猫の「ムギ3世」っていう不思議なネーミングセンスは好き。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/23 11:51 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『ナチス・イン・センター・オブ・ジ・アース』

クソ映画専門の配給会社と名高いアルバトロスが贈るしょーもないグロ娯楽映画。けっこう面白かったw
南極の氷の下にひろがる地下世界「アガルタ」で、ナチス残党が再び世界征服を企んでいた!という内容。

主人公たちは南極基地の研究者で、行方不明者の捜索→氷の裂け目を発見→全員でラぺリング降下という
ガバガバ救出法によって見事二次災害を引き起こし、迷い込んだ地下世界でナチスに捕らわれ、
そこでゾンビ兵の研究に参加させられる。
(ぶっ飛んだ設定だけど、一応、実際にあるナチス関連の都市伝説を下敷きにしている)

登場するナチス残党たちはヨーゼフ・メンゲレとゾンビ兵士とロボ総統。
頭部だけ生身のロボ総統が奇妙にぎこちない動きでビームを四方八方に発射するシーンはなかなかの珍場面だった。

あと、地下世界の描写がなかなか綺麗で好き。普通の野外撮影の空の部分に氷っぽいテクスチャCGを貼っただけなんだけど、
「南極の氷の向こう側に太陽が透けている」感じが出ていてファンタジーっぽい。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/22 15:22 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『CURE』

『CURE』(キュア)は、1997年公開の日本映画。監督は黒沢清。

普通の街の人々がなぜか急に殺人を犯し、被害者の首に×印を刻み込むという事件が連続して発生。
警察に所属する主人公(役所広司)は犯人探しに奔走した結果、ある記憶喪失の男と邂逅する。

その男(萩原聖人)は精神医学を修める元学生にして催眠術師だった。

「人々の心の闇を引きずりだし憎悪を煽って殺人を起こさせる」という前代未聞の殺人幇助術によって、
主人公の周りの人間が次々に狂いだす。親友の大学研究者も、彼の妻も、そして彼自身も。

追い詰められた主人公は犯人が収監されている独房に通い、自らも催眠の歯牙に掛かりつつ犯人の真意を問い質す。

いわく、犯人は過去に実在した催眠術師の祖を信奉しており、その技術の伝道者たらんとしている、と。
主人公には催眠の才能があり、自分と同質の魂を持っている――と、犯人は言う。


その言葉に困惑し激しく拒絶する主人公だが、しかし一方で自らの抑圧を開放してくれる催眠に“癒し”も感じてしまい、
最終的には犯人を射殺した後に自らがその継承者となってしまう。

犯人以上の才能でもって催眠を操れるようになった主人公は、己の苦悩の元(精神病の妻)を殺害し、
そして犯人と同じように普通の街の人々に殺人をさせる行為を開始する。

――“癒し”(CURE)を与えるために。



……という話(たぶん)。怖い。
感染するかのような連鎖的犯罪に取り込まれる主人公、という点が『セブン』や『リング』に似てる。

なんといっても「日常のなかに紛れ込む催眠」の描写が秀逸で、背景の壁にさりげなく記された×印だったり、
催眠にかけられた人のごく自然な異常行動だったりに気付いた瞬間、ゾッと肌が粟立つ感覚が味わえる。

「自分でも意識しないまま行動していて、それについて問われても説明できない」という恐怖。
怪物でも災害でも心霊現象でもなく、自分がいつの間にか自分でなくなる恐怖。

そんな奇妙な薄気味悪さを存分に楽しめる良い映画だった。ジャパニーズホラーの醍醐味だね。

ただ、黒沢清という監督の癖なのか、時系列がバラバラな上にかなり情報不足になるように撮っているため、
一度の視聴では全容が掴めない。かなり難解な部類の作品。
ちょっとハッタリじみたやり方だけど、それがこの映画をより不気味にしているとも言える。面白かった。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/20 21:26 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『アウトレイジ』ビヨンドと最終章

1~3作目まで全部おんなじストーリーでした。

多少は面白かったです。

終わり。


いや、なんかレビューがぞんざいで申し訳ないのですが、本当にそんな感じなのです……w

チンピラ同士の小競り合い発生、それを発端にヤクザ組織のトップ争いが起き、たけしが陰謀に巻き込まれ、
全員で盛大に殺し合ってイイ感じに頭数が減ったところでボス交代劇が終了。たけしは去る。

というのを3回繰り返しているシリーズなのです……。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/18 22:07 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『闇金ウシジマくん Part3』

原作の『フリーエージェントくん』および『中年会社員くん』のエピソードが元となっている闇金映画。
なぜか公開順と逆に観てしまっているなぁw

この辺のエピソードは連載当時でも既に惰性になっていて特に凝ったストーリーは用意されていない。
ただダラダラと登場人物たちがその場の運で浮き沈みして、最後にちょろっとウシジマ社長が出てコメントして終わる。
(まぁ、本来は長期連載に向いてる漫画でも無いと思うので、仕方ない部分はある)

ただ、映画でも「恒例になってるのでなんとな~く時系列を交錯させています」程度で、演出効果が皆無なのが残念だった。
いくらシリーズものとはいえ映画は1本の作品として観れるように仕上げて欲しいものだ。

天生塾の塾長が不良にリンチされても奇妙な太々しさを保っているキャラ描写だけ少し好きである。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/18 21:55 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『マウス・ハント』

1997年、アメリカ製作。
亡父から製糸工場と館を継いだ兄弟が、館に棲むネズミに翻弄される話。
ネズミ版『ホーム・アローン』か又は実写版『トムとジェリー』という感じ。

アメリカの娯楽作によくある「とことんコケにされる登場人物を観て皆で笑おうぜ」的コメディ映画だが
全体的に雰囲気が若干重めで、時々ホラーっぽくなったりシリアスになったりするところがちょっと残念。

主人公兄弟は悪人でもなく、彼らなりに現実と戦ってるし、亡父への想いもそれぞれにある悲哀を抱えた人物なので、
彼らがズタボロにされても心の底から陽気になれない辺りが、何というか……うーん……。

キャラクター、映像美、ギャグやパロディなどの個別要素はどれも高水準。
ジャンルを混ぜすぎて駄目映画になったパターンか。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/18 21:35 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

垣谷美雨『老後の資金がありません』

定年間近の夫婦を主人公にして生活のアレコレを描いた小説。面白かった!

共働きで貯めた貯金1200万が娘の結婚式で500万飛んで、舅の葬式+墓で400万飛んで、残り300万。
年金まであと8年、夫婦ふたりがどうやって暮らしていけば良いのか……という超具体的な悩みが生々しくて良い。

最悪のタイミングで夫婦がどちらも職を失ったり、結婚した娘がDV(家庭内暴力)を受けてる疑惑がでたり、
姑の介護を義妹と押し付け合ったりと、昼ドラみたいなドロドロが押し寄せてくるのだ。怖い!w

ハードな内容にしては文体は優しくて女性的。季節感や生活描写の情緒があって読み味が良い。
そのギャップが新鮮味のあるエンターテイメントになってて面白かった。著者は実力派ですね。


ただ”悪い意味でのフェミニズム”的な部分があるのが気になった。

夫の経済的貢献を無視して「ウチはまるで母子家庭」「妻は打ち出の小槌じゃないのよ」とか言うし、

「夫の会社が年金基金から脱退した時、女性社員はみんな積立金を将来受け取りにしたが、
既婚の男性社員はみんな妻に内緒で一時金を受け取って飲み食いに浪費した」という一節が出てくる。
あり得るのか、そんなこと……?

おまけに、娘の被DV疑惑が実は娘→旦那へのDVだったと判明した際に
「なーんだそうだったのw じゃあ問題ないねーめでたしめでたし」という雰囲気でエピソードが締めくくられる。
いや犯罪だよ!? それはそれで大問題だよ!?


……というように、価値観やモラルの面で同意できない言動も多くある。
(登場人物みんなで年金詐欺に関わって報酬だのマージンだのを取る描写もあるし……)
総評としては「底意地の悪い女性が繊細な筆致で描いた面白い小説」といった所でしょうか。はい。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/11 17:10 ] 紹介・レビュー 読書 | TB(0) | CM(0)

『アウトレイジ』

正月にふさわしくない映画第二弾。北野武監督作品で観たのは今の所これと『座頭市』のみ。
出演作なら『バトル・ロワイアル』とか『血と骨』とか観てるんだけどね。

ヤクザが内輪もめの抗争をしまくって最終的に皆滅ぶ話。
とても微妙。この戦いに何の意味があったんだろう? 退廃の美学は好きな方だけど、
この映画は同じテンポでいきなり人が死ぬのを繰り返してるだけでそんなに格好良くない。
後半は5分に1回人が死ぬ感じで最早ギャグ。

映像は綺麗だしキャラは立ってて良かったけどもっと斬新な暴力が見たかった。
うーん。まぁ続編も一応観てみる。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/07 20:21 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』

正月早々エグい映画のレビューです。しかもなぜかファイナルを最初に観てしまった……w
まぁ原作既読だしネタバレを気にする作品でもないから良っか。

原作の「誠愛の家」編の実写映画化。底辺労働者を押し込めたタコ部屋での悲惨極まる生活が怖い。
保証金や入寮費×数か月分などの借金で縛っておいて異様に割高な水・食料・衣服・娯楽その他の費用で
貯蓄をさせず囲い込む手法は割とその辺のちょいブラック気味な企業でも良くあることだけに恐ろしかった。

ウシジマ社長たちの少年時代の描写は〇。子役がとても上手い。

今回のメインキャラ・幼馴染のお人よし 竹本は、なんだか原作の超越者感がなくて胡散臭かった。難しい役どころ。
誠愛の家を掃除して住みやすくするシーンと「なめないと本当の味が分からないンだよ」ってセリフがなかったのも×。

滑川の代わりに配置された女ヤクザは相変わらず浮いてる。好きになれない。
でも今回の悪役・鰐戸三蔵の唇を噛みちぎったヤンデレ描写はわりと怖くて良かった。

ラストはちょっと感動っぽくゴリ押しし過ぎてる気がしたけど、山田孝之の演技力によって感慨深いものになっていた。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2019/01/07 17:26 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)

舞城王太郎『熊の場所』

・熊の場所

小学生の主人公が、心に闇を抱えた少年と友達になる話。

犬猫を殺して尻尾をあつめる癖がある「まー君」の闇を垣間見て主人公は恐怖を抱くが、
「恐怖を克服するためにはその対象から逃げず、対峙しなければならない」という父親の教えを実践するため、
まー君の家を訪ねて友達になる。

二人はサッカーを通じて仲良くなり、距離が縮まるにつれて主人公はまー君の殺害対象になる。
泊りにいった夜中にこっそり髪や首筋を撫でてくる友達 兼 殺猫鬼。主人公は恐怖をスリルに替えて楽しむ。

同時に、街では小学生男子の行方不明事件が発生。
まー君への疑いを深める主人公だが、恐怖の根源から逃げないため、向かい合うために、調査に乗り出す。
ところが事件は意外な方向へ……。

という話。
少年期の友情+異常者のコンビ物+不思議な事件という構成要素が乙一っぽかった。
最後をもっと後味良く爽やかにしたらよりそれっぽくなりそうだw なかなか面白かった。

ふーむ、しかし楽音寺も最近「友達の心の闇を覗く物語」を作ろうと試みたんだけど、
プロはやっぱ違うな、凄いなーと思った。尖りすぎ。ここまでインパクト出せない。


・バット男

度胸もないのにバットを振り回して結果みんなからいじめられてる近所の浮浪者の話。
高校生の主人公は傍観者で作中は特になにもしない。物語は主人公の友達カップルの愛憎劇が主だ。

バスケに熱中する優秀な彼と、振り向いてほしい愛情不足の彼女。
需要と供給のバランスが崩れた愛情故に、彼女は手あたり次第に浮気する。バット男とさえも寝る。

(バット男は近所の浮浪者で、いつも人に暴言を吐いたりバットを振り回したりするが実際にはとても弱く、
その地区の不良に的にかけられて日常的に虐げられている汚いおっさん。
毎日ひたすら虐められているその姿はもはや社会に組み込まれた歯車で、ストレスのゴミ箱。
バット男はある日突然いなくなり、死亡説も流れ一部のネット掲示板を騒がせたがすぐに忘れ去られた)

父親不詳の赤子が生まれ、彼は愛情を示すために彼女を許し結婚する。学校を辞めてスポーツ雑誌の記者になる。
しかしそれでも足りない。とにかくひたすら不足している。
部活も仕事も赤子でさえも嫉妬の対象で、とにかくひたすらこっちを向いて欲しいと彼女は言う。

不協和が悲劇を生み、彼女が赤子を虐待し始める。赤子を連れて失踪する。
彼は行方を探すため主人公に相談しにいくが、彼女の部屋の遺留物(血で錆びたバット)を見た主人公は
なにか暗いストーリーを想像し、関わり合いになることを恐れ、冷酷に追い返してしまう。

感染するように広がりゆく不幸から逃れるためには抵抗する意思を示さなくてはならない。
戦わないかぎり弱い者へ弱い者へと不幸が押し付けられてゆく。
自分は不幸の最終地点に……「バット男」になるのは嫌だ!

……という話。
はっきりした起承転結とかドラマツルギーがあるわけじゃないけどメッセージ性は強い。舞城らしい。
ブルーハーツの「弱い者たちが夕暮れ、さらに弱い者を叩く」という歌詞を思い出した。



・ピコーン!

頭の回転が早い元ヤン女子が彼氏を殺した犯人を探し出す話。
今作の3つの短編のなかでこれが一番好き。すごくテンポよく進む推理が面白く、物語は切ない。
以前にもレビューした気がするけど(コミカライズ版も読んだし)まぁいいか。もっかい感想書こう。

スペイン・オムレツの作り方から話がはじまる。ジャガイモと赤いハムと玉ねぎと紫蘇を混ぜてレンジでチンして
卵を4個くらいガーッと混ぜてまたレンチン。最後にクレソンを添える。

『クレソンはわたしのアイデア。クレソン以前の哲也はきゅうりだのレタスだのほうれん草のソテーだの
適当な緑モノで色合いを整えてもらっていたみたいだけど(わたし以外のいろんな女に)、
やはり「スペインオムレツ」にはクレッソーンだと思う。クレッソワーントなのでございます。』
(本文146頁)

あんまり意味はない下りだけど、主人公のうきうきした生活振りが伺えてとても可愛い描写なのだw


主人公と彼氏は暴走族を抜けてバイトを始めたり大検を受けたり、前向きに人生を切り拓いていくことを決めたカップルで、
……その……ちょっと下品な言葉なんだけど……「フェラチオ一万本ノック」とやらを敢行している。

まぁ、すぐに他人と喧嘩して体を傷つけて仕事を投げ出してしまう凶暴な彼氏を宥めすかして安定化させるために、
三大欲求のひとつを充実させんとする試み、な訳である。波乱万丈な生活のなかでその試みは日々達成されゆき、
カレンダーに『祝!○○本到達!』などと記される微笑ましい(?)彼らの日常描写は、しかし突然終わりを告げる。

彼氏の変死体が異常な状態で発見されることによって。

寺の境内で胡坐を組み、印をむすんだ片手をあげている。頭部には木の枝が2本刺さっている。
体には数語のアルファベットの血文字。股間はむき出しで紙製の“こより”が巻きついている。

そして……なぜか死体の表情は微笑んでいる。


ショックを受けた彼女が壊れそうになるほど激しく悲しむ場面、そしてその感情を行動力へ変えて捜査に乗り出す場面は
とても熱く、ぐいぐい読ませる力を持っている。主人公の猛スピード推理を『ピコーン!』という擬音で表現して
非常にテンポよく物語を転がしていく様は舞城王太郎作品でしか味わえない唯一無二の読み味だろう。

主人公が犯人の家に突入する直前の緊張感や、犯人の意外な姿も特筆すべき部分ではあるが、
なんといっても最後の『ピコーン!』が秀逸。

ただの生活描写だと思っていた「フェラチオ一万本ノック」やら「ダウンタウンの一人ごっつのDVD」が、
優しい愛情というテーマを鮮やかに物語る伏線だった、と知るとき、あなたもこの作品が好きになっているはずである。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2018/12/08 20:20 ] 紹介・レビュー 読書 | TB(0) | CM(0)

『ヒトラーと6人の側近たち』


ドイツ製作の歴史ドキュメンタリー。全6回+続編3回。

第1回「ヨーゼフ・ゲッベルス」

側近たちの中で唯一戦場経験のないインテリ、人心を煽る宣伝相、そしてヒトラーの殉教者……。

小児麻痺(だったかな?)の影響で歩行に障害があり、さらにヒトラーより小柄で頭が大きい、という
フィジカル面の不遇さにもかかわらず、眉目秀麗で浮名を流すジゴロだったゲッベルス。
対外的には「模範的家庭の象徴」として良きパパを演じていたけれど実際は女性問題が多かったらしい。

それについて敬愛するヒトラーから何度も勧告され家庭崩壊を防ぐようアドバイスされたのに、
結局浮気がやめられずしばらく仕事を干された、というのが実に人間くさくて良かったw

演説中に隣の建物に爆弾が落ちて大騒ぎになったのに平然と書類を読んでいた話とか、
戦況の悪化にあわせて家族もろとも自害した最期とか、歴史上の人物としてエピソードに事欠かない人物。


第2回「ヘルマン・ゲーリング」

元エリート戦闘機乗り、ナチス党№2にしてドイツ国家元帥、薬物中毒と贅沢三昧の破綻生活者……。

音楽や芸術を忌避するナチス党の禁欲的な思想信条に反して、戦争そっちのけで芸術品を買いあさり、
華美な宮殿を建てたり、高価な動物を飼ったりしていた欲望の巨漢ゲーリング。
コスプレも好きで、サーベル&マント付きの制服を着こんで総統閣下より目立っていたというw

中島敦の評するところの猪八戒のように、ある意味で人生を楽しむ才能があったとも言える。
戦場で負った足の傷を癒すためのモルヒネによって狂ってしまったのは残念だが、人間としては面白味がある。


第3回 「ルドルフ・ヘス」

実務能力やカリスマを持たない一般人、総統の秘書にして『我が闘争』の筆記者、常に空回りする真面目な男……。

“総統を守るためなら何でもする熱血漢”で、比較的初期の党員だったが故に秘書に選ばれ、総統代理とまで
褒めそやされていたが、後期になるにしたがって次第にヒトラーに煙たがられるようになってしまう。
彼は酒も煙草も薬も女遊びも贅沢もせず、ただ実直であったが、特に仕事ができるわけでも無かったようだ。

いまいち人望も得られず、総統の後継者の立場もゲーリングに奪われ、思いつめた彼はとうとう、
「誰にも内緒で飛行機を調達し、和平交渉をするために敵国イギリスまで単独飛行する」という物凄い暴走をする。

暴走したヘスは英国の熾烈な対空防衛網を(なぜか)潜り抜け、目標地点であったハミルトン侯爵の別荘まで
ほんの数キロの誤差でパラシュート降下。そこまでは良かった(良かったのか?)のだが
当然すぐにイギリス人達に捕らえられ、和平交渉は聞き入られることは無かった。

結局、その後 激怒したヒトラーに見捨てられるわ、戦後裁判で無期懲役になり90歳過ぎまで投獄されるわ、
散々な目にあってしまうのだった……。
ただひたすらに超越者に恋焦がれた凡人の末路という感じで悲しい。ファンクラブ会員№1が愛されるとは限らないのだ。


第4回 「ハインリヒ・ヒムラー」

ナチス親衛隊と秘密警察ゲシュタポと強制収容所の長、ホロコーストの担い手、もうひとりの“独裁者”……。

敬虔なカトリックの学校教師の家庭に生まれた彼は、運動神経は鈍く、精神面は脆く、胃腸は弱く、
動物愛護のための菜食主義者で、なで肩で、眼鏡で、地味なアジア顔の小男である。

しかしナチスの暗黒面を一手に引き受けたような黒幕的存在で、ある意味で最も罪深い男だ。
激しい選民思想を持ち、自分たちゲルマン民族を至高の血統と考える一方で、ユダヤ人種を動物以下とみなし、
あの悪名高きユダヤ人絶滅政策(ホロコースト)を主導した。自身でも暴走を止められない性質だったらしい。

オカルティズムにも傾倒し、怪しげな呪術師と親交をもったり、曰くつきの古城に住んだり、
秘密結社を立ち上げてキリストの聖杯を探させたりもしていたようだ。

最後は敵に捕らえながら口内の毒薬カプセルを噛み砕いて自殺した。
彼が携帯していた短刀には、プロイセンの諺「人の真価は外見にあらず」と彫ってあったという。
まさしく外見からは到底窺い知れない闇と狂気を孕んだ男だったのだ。


第5回「カール・デーニッツ」

悲劇の潜水艦Uボートの艦長、ドイツ海軍最高司令官、そしてヒトラー亡きあとの第三帝国総統を務めた男……。

彼に関してはヒトラーの側近というよりも徹底して職務に忠実な“優秀なる軍人”という印象だった。
本来は陸軍国であるドイツで海軍に属し、海軍国イギリスの無敵艦隊と戦わねばならない、という、
泣きたくなるような悲惨な戦局においても最善を尽くし、自分が出来ることを責任をもって淡々と行う。

側近たちに裏切られたヒトラーが自殺し、比較的距離を置いていた彼が突然 総統を継ぐことになったが、
それも決して華々しい立ち位置ではなかっただろう。敗戦の将として降伏手続きなどの処理を行い苦労した挙句、
就任半年で、ニュルンベルク裁判で禁固刑10年を宣告されたのだから……。

書簡などではヒトラーを賛美する文章を残しているものの、内心は容易に熱狂しないタイプだったと思う。



第6回 「アルベルト・シュペーア」

才気煥発な若き建築家、不可能を可能にする男、そしてヒトラーの数少ない親友……。

ヒトラーといえば演説による大衆扇動がよく取沙汰されるが、その舞台効果を演出した建築家が彼である。
20代で党大会の会場設計を担ったシュペーアは、多くの民衆から総統閣下の姿がより感動的に映るように
高低差を工夫し、ワーグナーの荘厳な音楽とサーチライトの眩い光が飛び交う“洗脳空間”を作り出した。

後に軍需相に任命されるが、まったくの畑違いであるにも関わらず天才的手腕を発揮。
どんどん悪くなる戦況に反して、組織をまとめあげ無駄を排除し、物資の最高生産量を更新し続ける。

とかく有能さが目立つ彼はヒトラーにも大いに気に入られたという。
元々芸術家を志していたヒトラーはシュペーアと設計図を挟んであれこれと議論することを子供のように楽しみ、
彼が訪れると手元の仕事を放り出して何日間も話しこんだらしい。

その時だけが総統から絵描きに戻れる瞬間だったのだろうか。
ヒトラーとシュペーアの関係は(晩年を除いて)互いに敬意を払いあう理想的なものだったようだ。



『ヒトラーの側近たちⅡ』

第1回 「アドルフ・アイヒマン -忠実な官僚-」

ユダヤ人収容所への移送計画を指揮した官僚。特徴的なエピソードに乏しく、ひたすら職務に忠実であった事と、
敗戦後の裁判でひたすら無実を主張した事から、小人物という評価をされることが多い人物らしい。
でもまぁ、それが普通だよなぁという感じ。ヒトラーとは面識があったかも怪しいレベルで、“側近”ではない。

それにしてもユダヤ人って世界中で嫌われてるなぁ。
賤業とされている畜産や金貸しを営んでいるから、ってだけでは説明しづらいような……?
宗教としても民族としても歴史があるし勢力も大きいし権力もあると思うんだけど、何故だろう?

以下豆知識。「百人の死は天災だが、一万人の死は統計にすぎない」という有名な文句の発言者とされるが、
スターリンやチャップリンの言葉だと言う説もある。

アメリカの心理学者が行った、特殊な条件下で平凡な人間に残虐行為を行わせるミルグラム実験は、
彼の名にちなんで「アイヒマン・テスト」と言われる。

亡命中、彼は幾つもの偽名を使い様々な職についた。水質調査、兎の繁殖、クリーニング店、工業労働など。
モサド(イスラエルの諜報機関)に発見&逮捕された契機は「妻の結婚記念日に花束を買った姿を見られたため」。


第2回 「ヨーゼフ・メンゲレ -死の天使-」

ナチスの暗部の代表的存在で、ユダヤ人に対して残酷な人体実験を繰り返した狂医師。
あまりにもグロいので詳細を知りたい人は自己責任で調べてください。

感想。モラルに反した研究というのは世界中の誰がどう批判しても止めようが無いと思う。
悪魔に魂を売り渡す程度のコストで貴重なデータが入手できるとあらば求道者は絶対にそれをやる。
メンゲレ自身が物凄い悪人だとか、特別に捻じれた精神性を持っていたとはそんなに思えなかった。
もちろん、裁かれるべき悪行ではあるのだが……。

皮肉なことに、他の側近たちと違って、亡命後の彼は割と幸せに暮らしたようだ。
恋人をつくり娯楽を楽しみ、穏やかに老年期を迎えた。最期は海水浴中に心臓発作で死んだという。
番組のナレーションでは「彼はずっと怯え、悩み苦しんで死んだ」みたいに言っていたけど、そうかなー?


第3回 「マルティン・ボルマン -総統の影-」

元々ドイツ義勇軍で赤狩りに関わった人物で、ナチスに入党してルドルフ・ヘスの部下となった後も汚れ仕事を
引き受けていた、用心棒とか鉄砲玉とか手配屋とか、そういうヤクザ系の人物。

ボルマンは上に媚びつつ下には冷酷で、現場を顧みない強引な指示で成果を独り占めするなど、
周囲に嫌われる性質の人間だったらしく、他の側近からの評判も非常に悪い。

おまけに「スカートをはいた物なら何でも追い回す」と評されるほど女癖が悪かったという。
詳細は明かされていないが、式典の最中にとある重要人物の妻を寝取る姿なども目撃されている。

しかし有能であることは間違いないようだ。ヘスが例の暴走事件で解任された際にも後釜に成り代わろうと画策し、
最終的にはヒトラーの秘書になって党大臣に任命されている。また、ニュルンベルク裁判の時に消息不明であったため、
戦後ナチス再建の為に南米で残党を率いているという噂がまことしやかに囁かれた。
(実際は服毒自殺してた遺体が発見されている)

スマートな手段で成果をあげるシュペーアとも正反対だし、誠実なのに総統に嫌われたヘスとも正反対だ。
彼の中の「忠誠心」と「野心」はどちらが大きかったのだろうか。




総評。
番組自体が政治的に偏ってて恣意的に感じる部分もあったが、側近たちの人物像がとても“キャラ立ち”してて
あまり詳しくない楽音寺でも結構楽しめた。

このシリーズの人物たちは皆 職務を忠実に全うしていて個人的な暴走をした者は少ない気がする。(ヘス以外)
大河の一滴が流れに逆らうことは難しい。その氾濫が肥沃をもたらすか破壊をもたらすか、水自身には解らない。

彼らは敗北したが故に全ての闇を晒され、世界中から(ドイツ国民にすら!)袋叩きにされたが、
じゃあ例えばアメリカやイギリスは罪深くないのか?というと疑問が残る。

インディアン(あえてこの呼称を使う)や黒人を虐げた彼らが、ユダヤ人を虐げた彼らを裁けるのか?
中東で現在にも至る戦争の火種を生み出した彼らが、戦場で猛威を振るった彼らを断罪できるのか?

歴史観はそれぞれの立場によって異なり、各国が常にイメージ戦略を仕掛け合っているような物なので、
なるべく多面的に観察することを意識しようと思った。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2018/12/04 19:08 ] 紹介・レビュー 動画 | TB(0) | CM(0)

『聖☆おにいさん』(アニメ映画)

可もなく不可もなく……というよりもっと低品質な、ゆるゆる宗教ギャグ映画。
原作の1コマを30秒かけて再現するような間延びしたテンポがギャグアニメとして致命的で、
もともと直感的ではない主人公たちのボケ・突っ込みがさらに迂遠なものになってしまっている。

遊園地のチケットを買うときの「聖人男性2枚で!」という下りに字幕を付けなかったり、
宗教的エピソードを元にしたギャグに補足説明やイメージ図を入れなかったりと、
ギャグの間口を広げる工夫がなされていない。原作の悪い部分をさらに助長している感じだった。

主人公2人の喋り方も音声がつくとさらにオネエっぽく、ホモカップルにしか見えない……w

演出とテンポは悪いが美術はそこそこ良かった。舞台の立川市のご当地描写が濃い。
美しい日本情緒と、宗教的・LGBT的な意味での設定の斬新さがあるので、外国人には受けるかも知れない。 にほんブログ村 イラストブログ イラスト練習へ
[ 2018/11/19 10:21 ] 紹介・レビュー 映画 | TB(0) | CM(0)